シナリオ作者：Hit氏
旧版HP：【シナリオ詳細: 聖者の経典】ウィザードリィ外伝〜五つの試練〜
Wiki：アンケート：聖者の経典 - Wizardry外伝 ～五つの試練～@Wiki - atwiki（アットウィキ）
ゲーム性重視で行くなら
— LED＠イリーナ＠ようせいさん (@mojo18726) 2021年12月17日
・ガーブの宝珠（ビショップを強化しやすい）
・聖者の経典（二刀流システム＆呪文強化ルーンあり。但し金策シビア）
あたりでしょうか。本当なら「不死者の秘宝」あたりをオススメしたいですが現在公開終了っぽいので。
発売前にオススメされていたシナリオの1つ、『聖者の経典』プレイしていきます。
このシナリオは個人的に非常にリスペクトしているWebサイト『Metal Page』の管理人Hit氏の作品でして、当ブログのWiz系記事はこのページのプレイ記録に多大な影響を受けております。
ということで同サイト内の紹介ページの内容を参照しながら進めていきます。
「二刀流」などの説明の他、職の仕様紹介等もされています。
全体的な難易度は高めらしく、また一切転職アイテムがないらしいので最初の選択が最後まで影響しそうです。
必要な特性値が大幅に下がるなど上級職がかなり使いやすくなっているらしいので、今回は序盤の難易度上昇を覚悟の上でガンガン上級職を使っていこうと思います。
かつ金策が非常に苦しいらしいのでビショップを入れる必要がありますが、今回はメンバーの都合上酒場に控えを置くスタイルで行こうと思います。レベル不足で鑑定できない事態が多発するとなると考え直す必要がありますが……。
もし僧侶か魔法使いがLv13に届くようなら転職することになると思います。
あとWikiにも旧公式にも口酸っぱく書かれてますが、最終階に知らなければ確実に全滅するイベントがあるらしいです。そこだけは重々注意しておきましょう……。
以下いつものテンプレ
＊おしらせ＊
・マッピングツールは「方眼紙マッピング」を使用。
・アイコンはいろいろカスタムしています。
・呪文名はいわゆる「トゥルーワード」に変更は ＊しません＊
・プレイしながら記録していたメモをほぼそのまま載せてます。
・ネタバレに対する配慮はありません。
キャラメイク
「聖者」を目指すシナリオなので、もちろんフウカ一行に出陣してもらいます。
上級職組はBP25超えを狙いました。
詳細なキャラ設定は以下をどうぞ。
フウカ G-Gno-Lor BP27
今回は待望の開幕ロード。ただ人間だと初期信仰心5のせいでBPのロスが大きすぎるので今回はノーム。
アキ G-Dwa-Fig BP18
いつも通り安定の戦士。レベルアップの速さと無駄のないBP割り振りで上級職ふたりに劣らぬ活躍を期待したい。
マナカ G-Hum-Sam BP29
久々の開幕侍。このシナリオの侍は盾装備が苦手らしいので、二刀流で頑張って戦い抜いて欲しい。Wizの人間は侍向きだなぁ……。
ユマ G-Gno-Pri BP18
お約束、パーティの生命線。後々ビショップも任せるはず。
カナヤ N-Hob-Thi BP18
BPの都合上若干運が低いのが心配な盗賊。それでも彼が居ないと探索は成り立たない。
ナオ G-Hum-Mag BP19
前回は思いつきでエルフにしたがいつも通り人間に戻ったナオ。範囲魔法の殲滅力は重要。
キョウカ G-Elf-Bis BP16
協力者。街でフウカたちの集めたアイテムを引き取っては売りさばくなかなかやり手の商人。
未だにポートレートを作っていないが、見た目は正統派美少女。特段腹黒というわけでもないが商売は上手い。
最初の準備
なんと初期所持金ゼロ！
しばらくは初期装備で頑張らなければならない。
特に二刀流のマナカがAC12という有様。とりあえずは後列のカナヤのクロースアーマーを着せておこう。
……弟のお下がりということでめちゃくちゃ嬉しそうにしている。
商店には最初からそれなりの装備が並んでいる。
特にロード専用の「聖騎士の剣」や侍専用の「無銘刀」あたりはカタログスペック上でも明らかに強力だ。
……しかしどの武器にも力マイナス補正が掛かっているのはどういうことなんだろう。
気になってホームページを見てくると
ほぼ全ての近接武器で二刀流が可能であり、また「武器両手持ち」という、武器攻撃力と命中率をアップするアイテム（盾扱い）により、ほぼ全ての武器で擬似的に両手持ちを可能にしています。
また武器には重量の概念があり、装備することで力（命中率）が下がり、ＡＣがプラスされます。
つまり二刀流の場合には、そのマイナス修正が２つ分かかることになるため、威力こそ強力ですがＡＣと命中率を大きく犠牲にすることになります。
ただし短刀などの軽い武器はマイナス修正がかからないため、二刀流は非常に有用です。両手持ちは、二刀流より攻撃力は劣りますが、命中率にプラス修正が付くため安定した強さです。
特に斧や槍などの重量のある武器では攻撃力の上がり幅が大きく、武器の真価を発揮できるようになっています。
反対に短刀などでは、あまり効果がありません。
ということらしい。
命中率がキツく感じるならあえて両手持ちを選択するのもアリということか。
「武器両手持ち」は1ゴールドなので、とりあえずユマの杖を売って3人分確保。序盤の命中率が多少はマシになりそう。
後々は盾持ちのフウカ、両手持ちのアキ、二刀流のマナカと分けていきたいところだ。
城に行くと看板にはこう書かれている。
＊ ＊ ＊
長きに及ぶ平和と豊穣の時代により我が国は空前の繁栄を迎えている。
しかしながら人々はそれに反して高潔な心を失いつつある。腐敗していく人心を甦らせるには、それぞれの心に規範となるものを作らなくてはならない。
かつて伝説の聖者が迷宮の奥底に封印したといわれる聖典には、聖者の教えが記されているという。
今一度この聖典を地上へもたらし、その智により人民を教化することができれば、国は黄金時代へと行き着くこともできよう。
幾多の困難を越え、深遠の迷宮より聖典を持ち帰った者には我が国に伝わる栄誉ある称号と褒章を与える。
＊ ＊ ＊
このシナリオは『Ultima』シリーズ、特に『Ultima IV：Quest of the Avatar』（邦題：『聖者への道』）の影響を大きく受けていると公言されている。
ホームページを見れば分かるとおり、この作者はウルティマシリーズのファン。ナンバリング全7作品の詳細なプレイ記録は非常に読み応えがあり、わたしもその濃密さに圧倒された覚えがあります。
もっとも自分でプレイしたことは一切なかったりしますが……。現行機で遊べる移植が皆無なのが惜しまれる。
あとはプレイ動画を観たこともありますが……RTA動画だったのであまりゲームの内容を満喫出来ているとは言い難いのですよね。
ということでこのプロローグは『Ultima IV』ほぼそのまま。
Wizの世界とはいえ、その一端を楽しめたら良いなと思います。
地下1階
お約束だが、階段周辺でとりあえずLv3くらいまで育てたい。
しかし敵は強くないが、いくら序盤とはいえ経験値が異常に渋い……。6人割りで100にすら届かないこともザラ。
Lv2に上がるまでに馬小屋回復ノーカウントにしても4回も突入するハメになった。
……昔から疑問なのだが、Wizは「Lv1→2」の必要経験値が「Lv2→3」より多いというお約束があるが、どういう理由なんだろうか……。
ということでLv3に。
珍しくアキのHPが伸び悩んでいる一方、ユマとナオはLv2呪文を一発で揃えてみせた。頼りになるなぁ。
これでグループ呪文の「ファイア」が撃てるので、多少は奥まで進めるようになった。
一方資金の方は全員合わせても600ゴールド前後しかない。確かに資金繰りが異常にキツいようだ……。
とりあえず全員に「レザーヘルム」だけでも買い与えたが、AC-1程度では焼け石に水。
目下の目標は最低攻撃回数＋4回の「レイピア」を誰かに買い与えること。比較的序盤から買えそうな武器ではこれだけ明らかにコストパフォーマンスが浮いている。
盾は「ラウンドシールド」以上でないとあまり意味がなさそうなのでとりあえずは全員両手持ちで行く。
他で気になる装備は魔法が使える職専用の「水星のルーン」。
属性によって多少の差はあるものの魔法ダメージを追加する効果のようだ。炎属性＋3はファイアをメガファイアに強化するくらいの期待値があるのでかなり有用そうだが、こちらもなかなかに高価。
とりあえず店売り品レベルでもドロップが落ちると全然違うので、順次玄室を開けていくことに。
「増光の巻物」が落ち、これが80ゴールドだったので非常に助かる。
……80ゴールドで「助かる」というレベルなんだからこの厳しさが分かるはず。
とりあえず目標の700ゴールドになったので、力が一番高いアキにレイピアを持たせる。序盤でダメージ7-14×4回ヒットは本家でいえばロングソード+2を上回るレベルなので凄まじい強さだ。
これで序盤の打撃力不足は問題ないだろう。
少し脚を伸ばすと、『テレーゼ教会』と書かれている鍵が掛かった扉を見つけた。やはり地下1階に教会があるのはWizのお約束か。
そしてもう少し先に進むとあっさり下り階段が見つかってしまった。いくら何でも気が早すぎる。
ロードフウカと侍マナカがLv4になったので呪文を習得し始めた。
流石に一度に全部というわけには行かないものの、それでも「ヒール」と「ウィザードアイ」といった比較的重要度が高いものはちゃんとカバーしてくれているので頼もしい。
マナカが「ウィザードアイ」を担当してくれることでナオが「スリープ」を撃ちやすくなる。これが重要。
そうこうしている間にLv5に。
当初伸び悩んでいたアキは嘘のようにいつもの高HPに。力も24と非常に高く、レイピア4ヒットで50ダメージ以上すら狙える攻撃力に。
ユマは「マジックライト」を覚えたのでこれで探索がかなり楽になる。ただ「ネームモンスターズ」が欠けたのがちょっと怖い。
ナオは安定の「サンダー」を習得。地下1階の敵なら余裕で一掃できるだろう。
かなりドロップを拾えたのでこれで多少は買い物ができる。
まずはずっと「隠れる→奇襲」以外なにもできなかったカナヤに「ロングボウ」を買い与える。
力が低いカナヤではこれでもあまり期待はできないが、それでもないよりは全然マシ。
残りの資金で前衛の防具を少しはマシにする。……それでもACは6～7。中々見ないレベルの脆さだ……コボルドにでも先制攻撃を浴びたらひとたまりもなさそう。
もう楽勝なので、地下1階の探索を本格的に開始する。
各所にはNPCが居て、繁栄を謳歌する地上にいられなくなったはみ出し者たちが人生を嘆いている。
このような者たちに救いを与えるのが「聖者」として目指す道なのだろうか。
「愛は常にそこに テレーゼ教会」と書かれた看板があったが、中に居たのは住人たちの有様を詩に仕立て上げようとする強欲な詩人だけだった。
聖職者であるフウカが苦々しい表情を浮かべている……。
地下1階の探索を終えたが、中央の「テレーゼ教会」の扉を開ける鍵は見つからなかった。下の階に進むしかなさそうだ。
帰還してアイテムを売り払うと約2100ゴールドになった。
とりあえずナオに「水星のルーン」、マナカに「無銘刀」、フウカに「レイピア」を買い与えて残り300ゴールド。ここまで来たらあと200ゴールド稼いで「ヒーターシールド」を買っておきたいなぁ。
「無銘刀[脇差]」はもうしばらくお預け。二刀流より両手持ちの方が現状強そう。
もう1回潜ってドロップを稼ぐ。「増光の巻物×3」を拾えたので一気に稼げた、とても美味しい。
「？盾」も取れたが残念ながらただの「バックラー」。あまり有用ではないので売却。
これでフウカに「ヒーターシールド」を持たせられた。とりあえずフウカの防御面は当面大丈夫そうだ。
残りのお金は後列攻撃に備え少しでも後列に防具を与えておく。ただ本当にお金がないので最低限だ。
最後の仕上げとして、カナヤを一旦外しビショップキョウカをLv3まで上げる。
これで鑑定成功率が少しはマシになるはずだ。
準備完了。いよいよ地下2階へ進もう。
地下2階
1戦目、ヒュージスパイダーが3グループ出現！ ナオのサンダーで一掃したものの、いきなりアキとマナカが毒に！
しかもダメージが異常に大きく、1歩ごとに5ダメージくらい入る！ もはやどうにもならず、逃げ帰る途中で死亡するハメに……。
蘇生に必要な寄付金はそれぞれ1500Gの合計3000G。手持ちのアイテムを全て売り払っても工面できないし、この先戦うすべがなくなってしまう。
しかしこのふたりを蘇生しなければ先に進むことはままならない。幸い盗賊カナヤが生き残っているので、ひたすら地下1階の敵をナオのサンダーで倒しまくって宝箱を開けていくことにする。ビショップキョウカも同伴。
間の悪いことに、このヒュージスパイダー戦の経験値でユマがLv7になり「キュアポイズン」を覚えた。
次は同じことはないと思いたい。
幸い薬や巻物がたくさん落ちてくれたお陰で比較的すぐに1500ゴールド集まり、まずはマナカを蘇生。
アキをあとにした理由は必要経験値が少ない戦士だから……。
メンバーが一人増えたお陰でより安定性が上がり、残り1500ゴールドも稼いでアキも蘇生。生命力が高いキャラだから教会なら失敗する心配がないのが救いだった。
アキ「ハッ！？」
ユマ「……アキッ！ よかった……！」ｶﾞﾊﾞｯ
アキ「ユマ……？ そうか、俺は……」
ユマ「貴方がいなくなったら……私は……！」ｸﾞｽｯ
アキ「……心配、掛けたな」ﾅﾃﾞﾅﾃﾞ
フウカ「あのスパイダーの毒にやられて、街まで保たなかったんだ……」
マナカ「アタシもついさっきまで死んでたんだ。あの蜘蛛の大群はヤバいね……」
カナヤ「姉さんの身のこなしでもとてもじゃないけど避け切れてなかったね。とにかく、ふたりとも無事でよかったよ……」
ナオ「ざっと15匹は居ましたね。あたしの『サンダー』が間に合っていれば……」
フウカ「キョウカ。地上での協力要員という約束だったのに、急遽ダンジョンの中にまで付いてきて貰うことになって申し訳ない。感謝するよ」
キョウカ「いいえ。わたくしもいつも卸して貰ってるお宝がどんな風に宝箱に入っているかを見られて良い経験になりましたわ。そして何よりも、お二人が無事で何よりです……」
フウカ「貴方に危険を冒させてしまったことを店主殿にも謝っておかなければね」
キョウカ「うふふ、お父様もこのお礼は今後もご贔屓に、って仰ると思いますわよ」
ということで気分を切り替えていこう。
とりあえずユマが「キュアポイズン」を覚えているので同じ事態はそうそう起こらないと信じたい。
改めて地下2階探索開始。
……が、毒もさることながら麻痺持ちも多く、ドラゴンフライのブレス連打も侮れない。
これはやはり前衛は二刀流や両手持ちを諦めて盾を持たせないと厳しそうに思えてきた。
とりあえず「ヒーターシールド」を持てるアキはそれを持たせ、マナカは他の部位の防具を少しでも充実させることにした。
階段の部屋の扉を開けると床に文字が書いてある。
「この先ダークゾーンにつき非常に危険！ 迂回ルート：右」
ウィザードアイがあればダークゾーンもそんなに怖くないように思えるし、露骨な迂回路への誘導も罠に思えるが……。
まあいずれマップを埋めるので、ここは素直に指示に従っておこう。
が、直後の扉の宝箱で「ガス爆弾」を引いてしまった！
なんと6人全員が毒に……！ 全員を治せるMPはなく、やむなくマナカとユマが死亡。えげつない……。
今度の蘇生費用は1750ゴールド×2。
ひとり分はかろうじてあったので、とりあえずユマを蘇生。
マナカの防具を買うお金が……。
先ほどと同じ手段でお金を稼ぎ、マナカも蘇生。
毒消しを持ち歩こうにも、このシナリオの毒消しはなんと200ゴールド。手に入る資金との比率を考えればあまりにも暴利。
とてもじゃないけど買いだめして持ち歩くなんてことは非現実的。買うならどちらかといえばキュアパラリシスの「柔軟の薬」の方が重要度が高い。
しかも宝箱の罠は地下1階から「ガス爆弾」や「電撃」などの危険性が高いものが頻発する。にもかかわらず宝箱を開けてドロップアイテムを手に入れないと一向に金が貯まらない……。
今までのシナリオとは明らかに質的に違う難易度に本格的にビビり始めている。
特に入手出来るゴールドと蘇生の費用のバランスが明らかに見合っておらず、死者が出ると長期間のブレーキに直結しかねない。
確かに本家Wizは後半ゴールドは余りがちだが……ここまで過激な調整は珍しい。
いずれにせよ、地下2階の敵にすら激しく苦戦している時点でかなり苦しい状態。
現状はナオの「サンダー」の回数がほぼ継戦能力に等しく、長時間の探索に耐えられる状態ではない。
やはり地下1階で地道にお金を稼ぎ、もうちょっと良い装備を揃えないと勝負にならなさそうである。
ある程度資金を集め、マナカに「傘」「着物」「脚絆」の三点セットを揃える。計3000ゴールド。
他の目玉商品は500ゴールドとはいえ背中装備でAC-1の「サーコート」。運+2で素早さマイナス補正もなく、とりあえず付けておく分には有用そう。
ここまでやって、ようやく「プロテクション」込みで前衛のACが0以下になった。厳しすぎる……。
他にも先制攻撃時にユマ・ナオが動けるように「炎の魔導書」か「氷の魔導書」も用意したい。1500ゴールドだが破損しなければいいのだが……。
あとはフウカ用に麻痺耐性の「聖騎士の兜」（5000ゴールド）が欲しい。かなり稼がなければならないが、蘇生代に7000ゴールド近く稼いでいるので今更である。
ここまで来たらどれほど時間を掛けてでも装備を整えてくれるッ！
途中で全滅しなければ良いと割り切って狩り場を地下2階階段近くに移す。
すると幸運にも「プレートメイル」（1500ゴールド）が落ちた。とりあえずこれはアキに着せる。
ちょこちょこ「解毒の薬」も落ちるが、こちらはいい加減懲りたので売らずに持っておく。
また「無銘刀[脇差]」が落ちた。いよいよマナカが二刀流デビュー。……両手持ちの方が強いなんてオチもありそうだけど。
1回ガッツリ潜るごとに約3000ゴールドの稼ぎ（ドロップ運にもよるけど）。
もうちょっと潜ればとりあえず「聖騎士の兜」を買うことくらいはできるだろう。
あわよくば「プレートメイル」がドロップで出ると嬉しいが……。
その後、無事に「聖騎士の兜」を購入。毒耐性の「聖騎士のブーツ」も欲しいがあと5000ゴールド稼ぐ気力はなかった。
今度こそ地下2階を攻略する……！
とりあえず先にダークゾーンへ。ウィザードアイがあればそんなに怖くないし、エンカウントもほとんどないので迷わない限りは却って安全だ。
ダークゾーン内は一見複雑そうだったがほぼ一本道で、所々に目印となるポイントもあったのでそんなに難しくなかった。
途中で『秘術の館』なる扉を発見。扉に入れてしまった上に一方通行だ！
退路を断たれて寒気が漂ったが、とりあえず進んでみる。
部屋は薄暗く、奇妙な香気に包まれていた。
床には魔法陣が刻まれ、壁には多くの書物と不気味な生物の死骸が鎮座していた。
中央には淡い光を発する水晶玉が置かれており、青い光を波打っていた。
敵が居るのかと思って警戒したが、中に居たのは奇妙な女魔術師であった。
「ようこそ、我が名はレオノーレ。失われた秘術を学ぶ者なり。
真実を求める者よ。よく聞きなさい。
この神秘の迷宮の奥底に祀られていた聖典は、
復活した魔神の手により次元の彼方へと封印された」
「人のみで次元の彼方に行く方法はただひとつのみ。
古の時代の魔力をその身に帯びた剣を持ち、次元の壁を断ち切るのだ。
その剣こそが古の賢者たちに鍛えられた伝説の剣マジックソードなり。
この剣は幸いにして、時代を超えた現世にも名を変えて存在している。
それらは『聖騎士の剣』と呼ばれ、一般に知れ渡っている。
しかし、現在見受けられるこれらの剣のことごとくは古の力を失っている」
我が秘術は、古の力を呼び戻す助けとなるであろう。
『聖騎士の剣』を手に入れ、再び我が元を訪れるのだ。」
聖騎士の剣って店売りしていたような……。
ちょうどウィザードアイの回数が少なくなっていたところなので一旦帰還。
ショップを覗くと、やはり5000ゴールドで「聖騎士の剣」を売っている。
高価とはいえ手が届かない価格ではない。こんな武器が本当に伝説の剣に生まれ変わるのだろうか？
首を傾げるが、とりあえずまた5000ゴールド稼ぐことにした。
渋々地下2階階段近くの玄室を開けまくるが、このタイミングでこのシナリオは召喚モンスターの連れ歩きが可能なことに気づいた。『ガーブの宝珠』以来だ。
純粋に考えても敵の攻撃の的が増えるのは助かる。積極的に使っていこう。
稼ぎを3周し、6500ゴールド稼いだ。これで「聖騎士の剣」を入手。
とりあえずフウカに持たせよう。
再びレオノーレの元を訪れると、
「おお、それはまさに聖騎士の剣！ さあ、奥の魔法陣の間に進むのだ！
我が秘術により、剣は古の魔力を取り戻すであろう。」
そう言って魔術師は扉の鍵を開け、奥に進んでいった。
フウカたちはあとを付いて部屋に入る。
部屋の中には魔法陣が展開されている。ナオが興味深げに――というよりは、訝しげに眺めている。
『聖騎士の剣』を魔法陣の上に置くと、魔術師は静かに目を閉じて詠唱を始めた。
すると魔法陣がうっすらと光り、続いて魔術師の身体からも色とりどりの薄い光が放たれて、やがてそれは彼女と剣を完全に包み込んだ。
ナオはここで何かに気づいたようだ。
「フウカさん！ 彼女を止めてください！」
「え？ 大丈夫なの？」
フウカが逡巡している間に、薄暗い部屋の中の不気味な術具が、はっきりと見えるほどに光が溢れると、詠唱はいよいよ激しさを増し、かすかに余韻を残して響き渡る。
やがて詠唱が終わると魔術師は光に包まれながら剣と共に消え去った……。
「……え？」
「え、彼女は――伝説の剣は？」
当惑するユマとアキ。カナヤが部屋を確認するが、どこにもない。
「……あの魔法陣の術式、どこか見覚えがあったので解読していたんですが――」
「ナオ、どうだったの？」
「――転移魔法。《テレポーテーション》です」
「……何だって！？」
次の部屋に進むと、書き置きが落ちていた。
『ごめんね！ 今までの話は全部ウソ。でも騙される方も悪いのよ。
あんまり簡単に人を信用すると、今のご時世長生きできないわよ』
「……これが、この国の人心が腐敗しているということか」
流石のフウカも、苛立たしげに呟いた。
「聖典」を手に入れ、人々の心に善悪の規範を与えなければ、この国はいずれ内部崩壊するだろう。
もう1度「秘術の館」に向かってみたが、街へのワープポイントに飛ばされるだけであった。
ここから彼女は地上に逃げたのだろう。
……そしてさっき稼いだ5000ゴールドが無に消えた瞬間であった。
というかフウカの武器がなくなった……。
あまりに腹立たしいのでもう1回5000ゴールド稼いで「聖騎士の剣」をもう1本買うことに決めた。
どうせもうすぐLv10。素の攻撃回数が3回になれば流石にレイピアは型落ちだ。
安いロングソードをとりあえず持っておき、改めて稼ぎに入る。
……ということでここまで。
次回地下2階の続きから。
