Tea-Wi's Peaceful World

プレイしたゲームとかの記録をつれづれと( ❛‿❛ )

インディーズならではの良質なリスペクト――『Bug Fables ~ムシたちとえいえんの若木~』



前回の『ペーパーマリオ オリガミキング』のプレイ中に見つけていたゲームがあります。
Bug Fables ~ムシたちとえいえんの若木』。独立系開発会社、いわゆるインディーズによって開発された、『マリオストーリー』リスペクトのRPGです。
単純に面白そうなゲームであったこと、そして『オリガミキング』をプレイした後にあえて旧来の『マリオストーリー』を踏襲した作品をプレイしたらどのような感想を抱くのか……というちょっと皮肉めいた理由もあり、プレイしてみることにしました。
しかし、このゲームの任天堂ハードでの発売が許されたということが、任天堂の寛大さを感じますね。

「ハードモード」ONでのストーリーボス全撃破まで完了していますが、ストーリー外のサブクエスト等はまだコンプリート出来ていません。この段階での感想記事となりますがご了承ください。

ゲームシステムはやはり『マリオストーリー』をベースとしており、3人のパーティの能力を駆使して攻略していきます。

    

遠距離攻撃が得意、かわいらしいが強欲なミツバチのヴィー。挑発で味方を守る誠実なカブトムシ戦士、カブ。氷の魔法を操る謎めいたガのリーフ
三者三様の能力を持ち、それらを駆使して、時には使い分けて謎を解いたり、敵に立ち向かっていったりします。

マリオストーリー』でいうところの「バッジ」にあたる装備品「メダル」も大量に存在し、これらを組み合わせることで能力に多種多様な変化を持たせることが出来ます。
最初は殴って、防御して、という単調な戦闘になりがちですが、メダル装備でコンボを組むことによってアタッカー・タンク・サポーターで綺麗に3人で役割を分けることができ、難易度が激変します。『ゼノブレイド』かな? ……と思ったら、英語版Wikipediaによると実際に影響を受けたゲームとして『ゼノブレイド』が挙げられていました(ほかには『ペルソナ5』『テイルズ・オブ・ゼスティリア』『黄金の太陽』が挙げられています)。
またに凍結以外の状態異常は基本的にメダルを装備するかアイテムを使用することでしか付与できないため、敵をの行動封じの手段がかなり限られます。その分ボスにもある程度有効なので、積極的に使っていく価値があると言えるでしょう。

ちなみに難易度は若干辛めです。ランクアップ(要するにレベルアップ)時にHP・TP(特技を使うのに必要なコスト)・MP(メダル着脱時に使用するコスト)を選択して上げられるマリオストーリー方式なのですが、TP・MPは3ずつ上げられるのに対し、HPは3人同時に1ずつしか上げられないのでとにかく耐久力不足に悩まされます(合計で3とは言えるでしょうが……)。
その関係で『マリオストーリー』と比べてもかなりハードな数字のやり取りになるため、アクションコマンドの腕を磨かないとやられやすいと言えるでしょう。
特に最初に貰えるやり込み用のメダル「ハードモード」を装備していると序盤からガリガリHPを持っていかれます。ハードモード進行ではメダルが揃ってくる中盤までは回復アイテムを詰め込んでいかないとボス戦であっさりリソース切れになってゲームオーバーになりかねません。
強力な料理に関してはサブクエストでレシピを教えて貰えるので、それらを駆使するだけでなんとかなります。特に中盤にさしかかるあたりから作れるようになる「とくせいドーナツ」はTP12回復と超有用な割に素材が非常に安いため救世主となるでしょう。

世界観・ストーリーもしっかりと作られていまして、まずグラフィックはもちろんペーパーな雰囲気が漂っています。ただあくまで演出の一環に留まっており、紙であることに明示的な意味を持たされているわけではないあたりも『マリオストーリー』の頃を思い出させます。
ストーリー部分はちゃんと独自に作られていますが、ストーリー進行の過程でキーアイテムを集めていく展開になるあたりはマリオ系RPGらしい雰囲気を作れているといえるでしょう。
ちなみに、本作の世界は虫たちが暮らす世界なのですが、ところどころにやたらデカい缶やら食器やらのオブジェクトが存在しており、虫たちの世界の外にはまた別の世界が存在するのだろう……と想像させる世界観作りもお見事といえます。

また、驚くべきはストーリー外のサブクエスト・サブボスの多さ。中には世界観の根幹に関わる設定がストーリー外ダンジョンで明かされるという衝撃的な展開もあり、探索欲を煽る要素として大いに機能していると言えるでしょう。

BGMもちょっと古めのゲームミュージックを彷彿とさせる感じに仕上がっておりポイント高め。
特にストーリー後半以降の通常戦闘BGMとなる『みんな、気をつけろ!』は個人的に非常に気に入った曲です。ゲーム内でサウンドテスト役のNPCが登場するのでいくらでも聴けるうえ、曲名もちゃんとローカライズされているのが嬉しいところ。

全体的に褒めちぎってきましたが欠点がないわけではなく、とにかくUIが惜しいです
上記の通りのメダルやサブクエストに加え、実績やレシピなどのリストが大量に存在するのですが、その一覧でページ送りが出来ないため数が増えれば増えるほど確認が面倒になります。特にメダルの着脱は頻繁に行うので結構なストレスで、本作最大の欠点と言えるでしょう。
また『マリオストーリー』リスペクトが行きすぎて移動が面倒だったり料理の演出が長かったりというところまできっちりと引き継いでいます。
こういう古臭いところまで楽しめるかが本作の評価を分けるポイントとなるでしょう。

またローカライズは非常に丁寧に行われてはいますが、全体的に台詞がやや直訳気味で若干クドく感じる部分が多いのもわずかな欠点と言えるでしょう。

総評

全体として非常に良質な『マリオストーリー』リスペクトのゲームだったと言えます。
既存のゲームを流用しただけに留まらず、『Bug Fables』独自の味に仕上がっています。これこそが任天堂ハードで無事発売された理由であったと言えるでしょう。
マリオストーリー』ファンであった人はもちろん、そうでないRPG好きのひとにもオススメできるゲームです。
イベントの旅に表情がくるくる変わるヴィーの可愛さを満喫しましょう( ❛‿❛ )

余談
なお、本記事であえて『マリオストーリー』と名指ししてきたのは理由があり、『ペーパーマリオ』シリーズ全体を名指しすると現行のシリーズそのものを否定してしまうことになるという考えからです。
確かに全く別物のシリーズになってしまっては居ますが、前回の記事で述べたように「新たな時代のペーパーマリオ」として現行シリーズを決して否定的に見てはいません。
かつての『マリオストーリー』『ペーパーマリオRPG』の系譜を継ぐゲームが出てくれたら確かに嬉しいとは思いますが、現行作を否定してまでそれを主張することは望みません。
放送中にもわざわざ『オリガミキング』のネガキャンをしに来た人がいましたが、個人的にはむしろ良い印象のゲームだったし貶されるのはあまり良い気分ではなかったことを明言しておきます。
本作自体も最終的には『ペーパーマリオ』の影響抜きで気に入ったゲームとなりました。