Tea-Wi's Peaceful World

プレイしたゲームとかの記録をつれづれと( ❛‿❛ )

【Wii/New3DS】ゼノブレイド 今更レビュー


私がRPGについて語ると必ずと言っていいほど名前を上げる作品だが、よく考えればちゃんとレビューしたことがなかったので今更レビュー記事を書いてみる。
ちなみにWii版で2周クリアしており、先日ニコ生でNew3DS版を1周クリアを達成した。
当然ながらネタバレを含むが、もう6年も前の作品なのでもう気にする必要もないかも。

ゲームの全面を見ていくと、意外と革新的といえる要素は少ない。
プレイヤーキャラ1名とAI操作のNPCによるリアルタイムバトルシステムは、FF12以来のシームレスRPGの戦闘システムとしてはメジャーなもの。ヘイト管理や敵のリンクなどといった要素は、目の前の敵だけではなく戦場全体を把握する目線を要求するものになっている(FF12ほど複雑ではないが)。
巨大な二柱の神の躯という舞台設定自体は革新的なものの、スケールが馬鹿でかいだけでゲームとしての構成はJRPGとしては比較的王道といえる部類である。FF12のように脇道要素が異様なまでに多かったりもするが。

最も革新的な要素は「未来視(ビジョン)」。
ストーリー上も重要な要素であると同時に、戦闘などのゲーム面でも大いに活躍する。
その集大成といえるシーンが機神界中枢のヤルダバオト戦。機神を覚醒させたエギルは「巨神斬りX」で巨神の生命ごと巨神を滅ぼそうとするが、これはなんと戦闘中に未来視が発生する。そしてヤルダバオトのエネルギーコアを破壊し、巨神界の崩壊を阻止せよ、というイベントバトルをその場で発生させるのである。
また、巨神の魂にして本作のラスボス・ザンザの存在も欠かせない。主人公シュルクと同じ未来視の能力を持つザンザとの戦いでは、未来視が発生する際に必ずQTE(タイミング良くBボタンを押す、本作共通のQTE)が発生する。同じ能力を持つ者との戦いを占める演出である。

そういやQTEっていうとこれまたいろいろと賛否両論があるシステムだが、本作のように戦闘中に戦況をコントロールする手段としては面白いなとは思っている(類例としては『キングダムハーツII』のリアクションコマンドなどがあるだろう)。逆にムービー中に挿入するものとしてはどうかなとは思うが。
あと本作のQTEは例外なく成功すれば有利にはなるが失敗して極度に不利になることもない。失敗=不利というのはプレイヤーのやる気を削ぐものになるかなとは思う(こちらは真っ先に『メトロイド アザーエム』が浮かぶ)。

総評して、個人的にゼノブレイドはどういう作品かと言われると、2000年代のRPGの集大成、と考えている。
PS2以降のムービーやボイスなどを用いた演出を多用したいわゆるJRPG、そして『ファイナルファンタジーXII』以降に発展した国産シームレス型RPGの両者を掛けあわせ、極めて高い完成度でまとめあげた作品といえる。
奇しくも、日本におけるRPGをリードしてきたスクウェア・エニックスではなく、(元スクウェアのスタッフが中心ではあるものの)任天堂傘下のモノリスソフトからこの完成度のRPGが出てしまったことに、個人的にはちょっと複雑な思いもあったりする。もともとはFFシリーズのファンであったので…(FF13以降は未プレイなのだが)。

ちなみに続編であるゼノブレイドクロスはどうかというと、こちらは2000年代後半以降に発展したオープンワールドRPGのひとつの完成形と考えている。
文字通り星1つをフィールドとして作り上げ、そしてドールの導入によって文字通り隅から隅まで余すところなく脚を踏み入れることが出来る。ゼノブレイドで評価された広大なフィールドを更に発展させたゲームであり、個人的にこの1点を以ってゼノブレイドより高得点を出せると思っている
が、巷で言われるように確かにストーリー面は薄味になっており、アバター型主人公でJRPG型ストーリーを構築することの難しさを痛感させられる作品になっているのもまた否めない。言ってしまえば、『ドラクエ』型の主人公なのに『FF』型のストーリーを進行しているようなイメージだろうか。

New3DS版のポイント】

基本的に完全移植。多少グラフィックは劣化しているものの、プレイ感覚的にはほぼ変わらない。
【評価点】
・細部のテクスチャなどは確かに劣化しているものの、遠景の描画など欠かせない部分はしっかり維持されている。
3DSで出たオープンワールドゲーというと他には『レゴシティ アンダーカバー』(WiiU)と同舞台の『レゴシティ アンダーカバー チェイスビギンズ』(3DS)があるが、こちらはかなり遠景の描画が省略されてしまっていてがっかりした覚えがある。もちろんWiiUWii3DSNew3DSの違いはあるが。
・当然3D表示対応。あの馬鹿でかい世界を3D表示で走り回れる。
ロード時間がWii版より大幅に短縮されている
特にセーブデータのロード直後が顕著であり、ジェムクラフト厳選などの際のストレスが全然違う。コレクションアイテム集めもかなり楽になっている。
裏返せば、このロード時間の長さを逆用したランドマーク・ロケーションの経験値獲得キャンセル技が使えなくなっている可能性が高いということでもあるが(未検証)。
・プレイ時間が999時間まで記録される。
基本的にWii版の仕様(細かいバグを含む…)を完全移植している中、明確に変えられた数少ない点がこれ。
一部で「99時間59分しか遊べないクソゲー」などとネタにされたWii版を意識したのは確定的に明らか。

【問題点】
・良くも悪くも完全移植。
細かいバグや謎仕様もそのまま残っている。
特に痛いのは「武器攻撃力が最低値+99までしか反映されない」というもので、「攻撃力強化」ジェムが単独では機能しない。まあ攻撃力よりヘイトやPTゲージ管理のほうが大事なゲームではあるけど。
・微妙に処理落ちが増えている気がする。
実際にWii版と比較検証したわけではないが、Wii版と比べて敵が大量に出現した際にゲームスピードが落ちる場面が多い(気がする)。
もともとWii版も頻繁に処理落ちを起こしていたので、相対的にはそんなに気にならないかも。

定価も安いので、New3DS持ってるなら買っても損はないと思う。
ただこのご時世の美麗グラフィックのRPGに慣れた人は、ちょっとグラフィックにはがっかりするかもしれない。