プレイ時間約47時間でポケモン図鑑完成までプレイしました。
想像を遥かに超える良い出来で、プレイ時間の割には内容は非常に濃密だった印象です。ぶっちゃけ体感的には80時間くらいプレイした気分になっていました。
本作について一言で説明するならば、『ダイヤモンド・パール』ではなく『Let's Go! ピカチュウ・イーブイ』(「ピカブイ」)の発展系と言えます。
「ピカブイ」で強調されていた「ポケモンを捕まえる楽しさ」「ポケモン図鑑を完成させる楽しさ」を徹底的に追求した作りになっており、今回は対戦すら廃したためにバトルシステムにも大きな改変が入りました。
いずれも従来の『ポケットモンスター』シリーズからは大きな転換であり、ゲームフリーク自らが作りあげた実験作としては上々の出来であったと言えます。
頂けないなと感じた点も皆無ではありませんが、総じて事前の期待を大きく超えた、非常に楽しめる作品でした。
記事の続きからはネタバレを含みつつ、詳細な感想を述べていきたいと思います。
「ポケモン」を捕まえるという楽しさ
今回はポケモンの捕獲にバトルは必須ではなくなっており、遠距離からボールを投げたり、草むらに隠れて隙を伺ったり、もちろんバトルして弱らせて捕まえたり……。
そして捕まえたら図鑑登録完了! ではなく、ポケモンごと複数捕まえたり、特定の技を見たり、進化させたり……などなどのお題が用意されています。
ポケモンのサイズが固定ではないため、「重い個体を捕まえる」「軽い個体を捕まえる」なんて概念も出てきました。
一方ポケモンもプレイヤーに対してダイレクトアタックを仕掛けてくるなど、生態系を乱す者に対しては容赦なく襲いかかってきます。
ゲームシステム上、同種のポケモンを複数捕まえることも頻繁にあるゲームですが、捕まえたポケモンを逃がすことに明確なメリットがあるのが「ピカブイ」譲りなのが嬉しいところ。
周囲のポケモンとは明らかに隔絶した強さを持つ「オヤブン」という特殊な個体が居ます。
ぶっちゃけストーリーボスよりも強いものが少なくなく、『ゼノブレイド』でいうユニークモンスターに相当する存在といえば分かりやすいでしょう。
なんなら裏ボスよりもレベルが高いオヤブン個体も居る始末です。
プレイヤーに対する敵対心が高いうえに戦闘能力も図抜けており、普通に戦っていては捕獲どころか勝利することさえ一筋縄ではいきません。
一方で各種の妨害アイテムを駆使すれば戦闘を介さずに捕獲することすら可能という点は健在であり、アクションゲーム的な面白さに大いに貢献しているポイントと言えます。
オヤブン捕獲のコツを掴めばどんどん高レベルのポケモンに手持ちを入れ替えていけるため、攻略のモチベアップにも大いに貢献してくれました。
ただし、団員ランクが低いとレベルが高すぎて言うことを聞いてくれない場合があります。
結果、強いポケモンを即戦力にするためにも図鑑を作るのが楽しくなると言う好循環にもなりました。
また、今までの作品のバッジとは異なり図鑑を埋めれば埋めるほどどんどん団員ランクが上がっていきます。
結果、ストーリーの壁に邪魔される場面がかなり減っていて、自分がプレイすればするほど出来ることが拡張されていく感覚が絶妙です。
一方でストーリーを進めれば新しいマップが開放されたり、移動手段となるライドポケモンが増えたりはするので、どのタイミングで先に進むかはプレイヤーに委ねられています。
ちなみに自分はガッツリ探索してから先に進むスタイルでしたが、ストーリー最優先で進んでるとランク不足で足止めを喰らう場面もあるらしいです。
ちなみに今回の新規ポケモンで一番のお気に入りはこのオオニューラ。
原種のニューラやマニューラと比べると垂れ目で「にゃりん!」なのがお気に入り。
ついでに主人公が入ったポーチ(?)を背負ってぺたぺた歩く姿が大変に可愛い。
通信対戦を切り離したことによる変化
ポケモンといえば通信対戦というのがお約束ですが、今回は完全にオミットされています。
逆に通信対戦を切ったおかげか、バトルシステムに大幅な改変が入っています。
一番分かりやすいのは行動速度で、今まではターンごとに素早さで先手・後手が決まっていたのに対し、今回はターンの概念自体がなく素早さや技ごとの補正によって行動順が決まり、場合によっては連続攻撃出来たり逆に連続攻撃されたりします。
既存のゲームだとFF10のCTB(カウントタイムバトル)が一番近いかなと思われます。
技もレベルアップやアイテムの使用で「皆伝」状態になると行動速度が上がる代わりに攻撃力が下がる「ハヤワザ」、逆に行動速度が下がるかわりに攻撃力や命中率が上がる「チカラワザ」に技を派生させることができるようになり、バトルの戦略性が激増しています。
CPUのAIも非常に賢く、ハヤワザで連続攻撃出来るときは積極的に狙ってきたりとかなり歯ごたえがありました。
代わりに特性がなくなり、個体値・努力値も「がんばレベル」に一本化された上にドーピングアイテムも容易に入手できるなど、対戦において重要視されていた「厳選」の手間が大幅に緩和されています。
性格補正を変える「ミント」も中盤以降なら簡単に量産できるため、好きなポケモンを好きな強さにして戦うことが比較的簡単にできるようになりました。
そしてなにより、対戦バランスを考えなくて良くなったことにより、伝説・準伝説のポケモンがそれにふさわしいとんでもない強さを誇っています。
特にタイトルになっているアルセウスは初代時代のミュウツーすら超越するインチキとしか言いようがない異常な強さになっており、創造神の名にふさわしい圧倒的な実力を発揮します。
個人的にこういうフレーバーにふさわしい圧倒的な能力を持っているのは大変に好みです。
どれほどの強さを持つかは……君の手で確かみてみろ!
激変したUI
こにゃさんのこの記事が詳しいですが、本作のUIは異常な程スピーディーです。
今までのポケモンはレベルアップしたらすぐにダイアログが表示されて、技を覚えたら覚えるか否かを選択して、進化する場合はそのムービーも流れて……といった流れがお約束でした。
しかし、本作ではその流れがまとめて撤廃されています。
レベルアップ時のダイアログは存在自体が廃止され、技はメニューで任意に入れ替え可能になり、進化もメニューで任意のタイミングで可能になりました。
いわば近年の任天堂のお約束と化している「アタリマエを見直す」がポケモンに対しても徹底的に行われたということでもあります。
一方でこれも通信対戦のゲームバランスのための「縛り」が解かれた結果といえ、今後の作品でも同じようになるかは分からないところです。
やはり「RPG」と「通信対戦」の両立というのはポケモンの難題でして、RPGらしくダイナミックなギミックを仕込みたい(『XY』のメガシンカや『剣盾』のダイマックスなど)という悩みと、それに伴い対戦環境が激変することへの賛否は常に並立しており、近年のポケモンがことあるごとにネット上で炎上する理由の1つとなっています。
個人的には、本作のようなRPG特化の作品と昔でいう『ポケモンスタジアム』のような対戦特化の作品を分けてしまってもいいのではないかと思うのですが……。
総評――この路線の新たな『ポケモン』を期待したい
上述しましたが、本作は「対戦」のくびきを解かれたことで「RPG」としての完成度を大きく高めた『ポケモン』です。
個人的には『ポケモン』はRPGとして好きであることもあり、この路線で続けていって欲しいと思う限りです。
パーティメンバー紹介
最終的にこんな面々になりました。
バクフーン(ヒスイのすがた)
最初から最後まで随行した御三家。ちなみに♀。
最終進化でゴーストタイプが付いたのがとても嬉しい誤算でした。というのもわたしはゴーストタイプが好きなのでPTに必ず1体は入れることにしているのですが、これが御三家になってくれるとは夢にも思っていなかったからです。
ほのおタイプとゴーストタイプという組み合わせのお陰で攻撃範囲が非常に広く、アタッカーとして大活躍してくれました。
ヒスイの時代には居なさそうなポケモンですが、フィールド上でランダムに発生する「時空の歪み」というイベントで出現します。
ちなみにテンガン山の上空でも遠くで飛んでるので、一応通常入手も可能です。ただ進化前はいません。
はがねタイプの耐性と高い特攻は重戦車として最適ですが、本作で重要な素早さで劣る場面が多かったのが欠点。それでもかなりの活躍をしてくれましたが。
ムクホーク(オヤブン)
じめん技が一貫しがちなこのPTにて貴重な浮いているポケモン。
高い攻撃力にそこそこの素早さ、高いとはいい難い耐久という分かりやすい高速アタッカー……というのは仮の姿。
実際ほとんどのバトルではそういう役回りで活躍してくれたのですが、とあるボス戦では話は別。「ノーマル・ひこう」というタイプの組み合わせが耐性として抜群に機能し、他のポケモンたちが次々と倒れていく中、生き残り続け勝利するという大活躍をしてくれました。
間違いなく本プレイ最大の英雄。
エンペルト(オヤブン)
とにかくデカい皇帝ペンギン。今回は新技「ウェーブタックル」で低い素早さを補えるアタッカーとして活躍。
ただはがねタイプが3体も居る上、本来みずタイプならカモのはずのじめんタイプに逆に弱いという欠点もあって終盤以降はあまり活躍できなかった。
とはいえ『ブリリアントダイヤモンド』で愛用していた縁もあって最後まで連れて行きましたが、実用面で言えばギャラドスとかに交代してもよかったかも……。
ルカリオ(オヤブン)
ご存じ真空波動拳。
全体的に技の命中率に難がある本作において、高威力の必中技というのは非常に貴重でして、確実性があるアタッカーとして活躍してくれた。
あと地味に「あくのはどう」などの他タイプの攻撃技が豊富なのも助かった。
ガブリアス(オヤブン)
なんとLv85という超高レベルで配置されているオヤブンガブリアス。伝説勢をも上回る本作最高レベルの野生ポケモンで、寒冷地に居座る最強のドラゴンという存在感は『ゼノブレイド』の「雪檻のアバーシ」を彷彿とさせます。
……もちろん知略を駆使してバトルを介さずにゲットし、そのまま即戦力に。
今回の「げきりん」は威力が少し抑えられた代わりに混乱のデメリットがなく、とりあえず逆鱗を撃っておけば強いという分かりやすいポケモンに。
平均Lv70前後のPTに1体だけLv85が混ざっているので存在感は圧倒的。まさに切り札。
ここからは完全にネタバレなので要注意。
気になった点(ネタバレ注意)
本作はご存じの通り『ダイヤモンド・パール』の関連作なのでディアルガ・パルキアも登場します。
で、本作ではギラティナに倣ってオリジンフォルムが追加されたのですが、そのデザインが……
これ。
放送中凄い勢いで「ないわー!」って叫んでました。
スクショ撮ってないですがディアルガもこんな感じで、ギラティナのオリジンフォルムがカッコいいのに対してこっちはビックリするくらいダサいです。ドラゴンのくせに無理してアルセウス体型になろうとするから……。
幸い自分が使うときのフォルムチェンジは任意なのでいつもの姿で使えば済む話ですが……。
あと自分は特に気にしていませんでした(そもそも重要視していなかった)が、ストーリー面については放送中にちょこちょこ突っ込み入れてるコメントがありました。
ストーリー重視の人には引っ掛かる人もそれなりに居る……のかもしれません。