Tea-Wi's Peaceful World

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モンスターハンターライズ 片手剣と属性

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「片手剣といえば属性武器」と長年言われ続けているが……

片手剣は属性が重要

初代『モンスターハンター』から長年言われ続けている片手剣の合い言葉のようなキーワードです。
しかし、『MH:W』あたりからこの鉄則が揺らぎだし、本作『MHRise』に至っては一部で「片手盾」なんてキーワードが流行るくらいには物理重視の武器種に変貌してしまったと嘆かれています。

で、そもそもなぜ片手剣は属性が重要と言われ続けていたのか、本作で物理が重要と言われている理由は何なのかについて、改めて検討してみたいと思います。

なお、本記事は軽くですがモンスターの肉質やダメージ計算に触れる場面があります。
ダメージ計算に関する用語については前回の記事の「3.」の段落もご参照ください。
tea-wind.hatenablog.com

では行ってみよう。

1.そもそも属性ダメージとは何か?

一般的にゲームにおける「属性」といえば、「弱点を突くとダメージ2倍」みたいな要素を想像します。
ポケモン』における「ほのおタイプの技でくさタイプポケモンに攻撃すると『こうかはばつぐんだ!』でダメージ2倍」、というようなイメージです。

しかし、モンハンではちょっと事情が違っています。
まず、モンハンにおけるダメージ計算を超簡略的に表すとこのようになります。

物理ダメージ(A)=ハンター側の物理ダメージ×モンスターの物理肉質(%)
属性ダメージ(B)=ハンター側の属性ダメージ×モンスターの属性肉質(%)
総ダメージ=A+B

この通り、物理ダメージと属性ダメージは独立して計算されており、最終的に物理と属性が足し合わされて最終的な総ダメージが決定します。
物理ダメージは全ての武器に存在しますが、属性ダメージは当然属性武器にしか存在しません。

トップ画像の「くれなゐの色扇の薄重」で言えば、「攻撃力190」という物理攻撃の性能は、例え水属性が一切効かないモンスターであっても効果を発揮します。
一方、「水属性25」という属性部分の数値は水属性が有効なモンスターにのみ通用します。
※上記の画像は百竜強化「属性強化【水】」が適用されてしまっており、実際の素の水属性値は19です

属性ダメージは、基本となる物理ダメージに加わる追加ダメージと言うことが出来るでしょう。

それでは、この属性ダメージはどれくらい大きなものなのでしょうか。

2.属性ダメージの「大きさ」

前回の記事では「計算するまでもなく、殴ってみれば分かる」と申し上げましたが、物理と属性のダメージ比率は流石に計算しないとわかりません。
実際に自力で計算してもいいのですが、ここはWeb上に公開されているダメージ計算機を使ってみましょう。

例によって「kuroyonhon.com」様のサイトを利用することにします。このサイトには「ダメージシミュレーター」というものがあり、実際に武器・スキル・対象モンスターと部位・使用する技を指定してダメージ計算を行うことが出来ます。

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kuroyonhon.com様のダメージシミュレーター

こちらも実際に試すのが一番。武器は上記の通り「くれなゐの色扇の薄重」を選択。
ハンターノートの「武器操作指南」に記載されている片手剣の【威力が高い連携】「水平斬り→斬り返し→回転斬り上げ→旋刈り」のコンボを入力。水弱点のモンスター……今作でいえばメインモンスターのマガイマガドが適任でしょう。

それでは実際に計算してみます。

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マガイマガド相手の計算結果

大量に部位が並んでいますが、とりあえず通常時の弱点である「」に絞って見てみましょう。
なんと物理166.85ダメージに対し、属性はたったの16ダメージです。1割未満です。
他の部位を見てみても、比較的属性比率が高い後脚で24%ほどです。しかし合計ダメージを見てわかるように、わざわざ後脚を攻撃するメリットはほとんどありません。

 更にこのダメージシミュレーター、部位を指定してどの武器が一番ダメージを出せるかをランキングで表示できる機能も付いてます。

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マガイマガドの頭に攻撃した場合のランキング

見ての通り、弱点属性を持っているはずの「くれなゐの色扇の薄重」は7番手に留まっています
上位の武器の大半は無属性武器で、いずれも物理ダメージの大きさでランクインしていることがわかります。かろうじて「王牙剣【折雷】」が食らいついていますが、それでも属性ダメージは1割未満。

このことから、追加ダメージとしての属性ダメージの比率は例え片手剣といえど大きくはないということがわかります。

当然、属性攻撃強化スキルの1.2倍+4を積んだところで焼け石に水です
そして属性を強化するスキルは属性攻撃強化スキル以外には「会心撃【属性】」くらいしかない一方、物理面を強化するスキルはものすごくたくさんあります

攻撃:物理攻撃力を最大「1.1倍+10」アップさせる。
見切り:会心率を最大40%アップさせる(会心ヒット時物理ダメージ1.25倍)。
弱点特効:肉質45以上の部位を攻撃した場合、会心率を最大+50%アップさせる。
会心会心ヒット時の物理ダメージの補正を最大1.40倍に強化する。
挑戦者:モンスターが怒り状態の場合、ハンターの物理攻撃力・会心率をアップさせる。
攻めの守勢:ジャストタイミングでガードに成功した場合、ハンターの物理攻撃力を最大1.15倍アップさせる。
鈍器使い:斬れ味ゲージが緑ゲージ以下の場合、物理攻撃力を最大1.1倍アップさせる。

代表的な物を挙げるだけでもこれくらいあります。これらをいくつか組み合わせて発動するだけで物理攻撃力は飛躍的に高まります。
スキル環境が整えば整うほど、物理と属性の差は決定的に開いていってしまうのです。

3.なぜ属性ダメージの比率はここまで小さいのか

いくつか理由はありますが、最大の理由が属性肉質の数値です。
前回の記事で「弱点特効の発動する肉質は45以上」「弱点特効【属性】の発動する肉質は25以上」と述べたのが一番わかりやすいと思いますが、属性の肉質はそもそも物理に比べて非常に数値が低いのです

物理の弱点部位の肉質が60を超えることも珍しくない中、属性の肉質は25~30がやっとです。この時点で属性ダメージは武器の数値から大きく軽減されてしまいます。

次に挙げられるのが斬れ味補正。本作で最も優れた斬れ味は白ゲージですが、白ゲージの時は物理ダメージは1.32倍になるのに対して属性武器は1.15倍にしかなりません
斬れ味が良くなればなるほど、物理ダメージと属性ダメージの差は開いていく一方なのです。

このように、モンハンはゲームシステムの時点で物理重視のゲームデザインになっていると言えます。
属性武器が活躍するには上記のハードルを乗り越えられるほどに飛び抜けた性能が必要……なのですが、本作の片手剣ではそこまで飛び抜けた属性性能を持つものはありません。

余談ですが、初代モンハンの頃は属性肉質も物理と同様かそれ以上に高い数値設定がされていた時代があります。
しかし、初期作故に物理性能が貧弱だった反面、一部の属性武器がとんでもないダメージを叩き出していました。
最も有名なのが片手剣の「封龍剣【絶一門】」で、FF5のチキンナイフと比較されるほどにぶっ壊れた強さを誇っていました。そして本作の属性武器の強さを反省し、後の作品では属性の肉質は大きく抑えられるようになってしまった……と言われています。

4.なぜ片手剣は属性重視の武器種と言われてきたのか

 まず、属性ダメージというのは技の威力(モーション値)の影響を受けません。
大剣の抜刀斬り(48)だろうが、片手剣の縦斬り(14)だろうが、属性値が同じなら与える属性ダメージは同じです。この2つの攻撃は物理ダメージに約3倍の差がありますが、属性ダメージは同じです。
つまり、1発が弱い武器種ほど属性ダメージの割合が大きくなるようになっています。

そして、昔の片手剣は今とは比べものにならないくらい物理性能が低かったです
例として『モンスターハンターポータブル 2ndG』を取り上げますが、当時はAボタンの水平斬りのコンボすら存在せず、ジャンプ攻撃(16)→斬り上げ(14)→縦斬り(13)→横斬り(11)→回転斬り(24)しかやることがありませんでした。救済策として斬れ味部分に1.12倍の追加補正が与えられていましたが、それでも合計の技威力は87程度
MHRiseでは突進斬り(18)→斬り上げ(14)→水平斬り(22)→斬り返し(21)→回転斬り上げ(30)→旋刈り(55)の合計160くらいは出来ます。
詳細なアクション時間まで計ると違う部分もありますが、今の片手剣はMHP2ndG時代と比べてざっと2倍くらいの物理性能があるといえます。更に滅・昇竜撃などの高威力の鉄蟲糸技も兼ね備えており、実際の差はそれ以上でしょう。
逆に言えば、当時の片手剣は今の半分以下しか物理性能がなかったということになります。

一方、物理性能が半分ということは、属性の影響度は2倍だったということです。しかもMHP2ndG時代の片手剣は、上位段階でもMHRiseでいう属性値40を超える高属性の武器がいくつも並んでいました。
また、当時は属性がよく効く部位は物理があまり通らないことも多く、斬れ味補正のお陰で弾かれにくい特性があった片手剣はそのような部位を狙うことが求められることが多かったです。このような環境面からも属性ダメージが重要視されやすかったといえます。

このような理由から、過去作で「片手剣は属性が重要」という機運が醸成され、長年片手剣使いに語り継がれてきたというわけであります。

5.MHRiseの片手剣は属性が重要ではない理由

ここまで並べていくと属性の重要度が低い理由が見えてきます。本作の片手剣は武器種そのものの物理性能が非常に高くなっており、属性の追加ダメージに頼る必要がないのです。
物理性能は過去作のおおよそ2倍。更に本作の有力技である滅・昇竜撃フォールバッシュなどは属性ダメージがそもそも入らない仕様になっており、物理性能が重視される環境を作り上げていると言えます。

モンスター側の肉質も同様で、「めちゃくちゃ硬いけど代わりに属性がよく通る」なんて部位がナルガクルガの刃翼くらいしかありません。そのナルガクルガも他に弱点部位があり、片手剣のリーチでも安定して狙える以上、部位破壊以外で刃翼を狙い続ける意味がないです。
また、全武器種共通で味方を吹っ飛ばす技が減っていること、スキル「ひるみ軽減」によって味方に転ばされる心配なく弱点部位を一緒に攻撃できるようになったこと……などなど、片手剣の物理面の躍進を支える要素はゲーム全体を通して数多くあります

つまり、片手剣にとっては属性が弱くなったのではありません。物理が強くなったのです
片手剣における属性重要度の低下そのものが、片手剣が強くなった何よりの証明なのかもしれません。

6.片手剣で属性が有力に機能する場面

さて、散々片手剣の属性ダメージについてネガティブに語ってきましたが、片手剣において属性ダメージが有効に機能する場面がないかというと、そんなことはありません

本作の片手剣は、装備・装飾品が自由に作れる、要するにクリア後の環境を前提とすれば、あらゆるモンスターで属性が物理以上に有効な場面は存在しません
過去作で属性特化構成の仮想敵の代表格であったオオナズチでさえ、本作では物理の方が有効となっています。

しかし、「装備・装飾品が自由に作れない環境」となると話は変わってきます。
本作は、「物理ダメージを強化するスキルは攻略段階での搭載が難しい」という環境上の特徴があります。
装飾品のスロットはことごとくLv2以上、しかも作れるようになるのは上位後半以降。それまでは防具の組み合わせでなんとかするしかありません。
しかも多くの物理強化スキルの装飾品は製作にレア素材が必要であるため、一通り揃えること自体がエンドコンテンツの領域です。攻略段階で手を出すことは基本的に想定しない方が良いです。

一方、属性攻撃強化スキルは上位序盤から装飾品を作ることができ、しかもLv1スロットなので大抵の防具に簡単に搭載できます。他にも上位の小型モンスターの防具には属性攻撃強化スキルがLv3で付与されているものがあり、このあたりを駆使すればLv5での発動も簡単です。

また、更に前段階である里クエや集会所下位では物理攻撃力が低いため、作りやすい属性武器は大いに活躍の場があるでしょう。
本作の片手剣では雷属性の「フルレイザー」系列や毒属性の「ダーティーバロン」系列は大いに活躍できます。

総評して、本作の属性片手剣は「攻略段階で活躍するポジションの武器」に立ち位置を変えたと言えるのかも知れません。

7.余談~他武器種の属性事情~

片手剣より手数が多く技の威力が低い近接武器というと、双剣があります。
実は双剣は片手剣とは逆で、MH:Wのモーション刷新でヒット数が増えて技威力自体は下がる……という方向で調整が進んでいます。
更に長年双剣使いを悩ませてきた属性マイナス補正も同作でほとんどが撤廃され、ステータスの額面通りの属性ダメージが出せるようになりました(MHW:IBではマイナス補正が復活して双剣使いがお通夜になったりしてましたが……)。そして武器自体の属性値も片手剣と比べて高いものが多くなりました。
本作もその流れを引き継いでおり、片手剣なんて目じゃないくらいの属性重視武器種になっています

先ほどのマガイマガドの例を持ち出せば、水属性双剣のD=ジーカッターなら頭で属性ダメージ比率は約50%、後脚のような物理がやや硬い部位なら属性ダメージ比率約115%となり物理ダメージより大きくなったりもします
これほど属性ダメージの比率が高いのであれば、片手剣では誤差に近かった属性強化スキルも大活躍できます。

ちなみにガンナーについては、属性弾のダメージ決定に攻撃力の値が直接関わるため、攻撃力が高くなるようにスキルを組めば自然と属性弾の威力も高くなるようになっています。当然そこに属性攻撃強化スキルの上乗せも有効です。
また、弓は双剣に匹敵するほどヒット数が多く、双剣ほど極端ではないにせよ、属性ダメージは無視できない割合を占めています。

属性武器をもっと活かしたいならこれらの武器種がオススメです。
どれもこれも片手剣と比べてスキル構築が難しいのがネックですが……。