今作はハンターノート→大型モンスターリストからモンスターの肉質の詳しい数値データを参照できるようになっています。
従来作ではこのような詳細なデータは基本的に攻略本に頼るしかなかったため、シリーズファンからは好評を持って迎えられた機能です。
しかし、よく考えてみると、「本作がモンハン初プレイです」というハンターにとってこの肉質表は「読んで理解できる」ものなのでしょうか。
実際、本作のゲーム内で参照できる取扱説明書にはどこにも肉質表の読み方なんて載っていません。数字が大きい方が有効なのか、小さい方が有効なのかすら記載がないのです。
そこで、前作『モンスターハンター:ワールド』の肉質表を比較してみましょう。
さて、これらの肉質表を見比べて、どちらが理解しやすいと感じるでしょうか。
シリーズを遊び慣れたハンターなら間違いなくMHRiseの方と言えると思いますが、本当に初めてプレイするハンターにとってはMH:Wの方がわかりやすいのではないでしょうか。
ということで、本記事ではMHRiseの肉質表について、改めて分析していくことにします。
ただしいきなり詳細なダメージ計算式とか出されても間違いなく混乱を招くだけでしょうから、3段階に分けて記載していこうと思います。
すなわち、
- 肉質とは何か
- 肉質に関わるスキル
- 肉質の数値について(ダメージ計算式入門)
という順で語っていくことにします。
これらのうち、実際にプレイしていく上で知っておく必要があるのは「2.」までです。
「3.」は熟練のハンターの間なら知っていて当然のような空気がありますが、ぶっちゃけ実際の狩猟に必要な知識の範疇を超えています。
ということで、レッツゴー。
1.肉質とは何か
さて、基本中の基本、「モンスターの肉質とは何か」というところについて始めます。
そもそもゲーム用語として「肉質」なんてワードが出てくるのはわたしが知る限りモンスターハンター以外に存在しません。
本来は「牛肉など、食肉の質の良さ」を示す言葉です。こんな言葉をゲーム用語として採用するモンハン開発者の独特のセンスが窺えます。
さて、モンハンにおける「肉質」とは、簡単に言えばモンスターの防御力です。
プレイしていればなんとなく分かるように、モンスターには弱点となる部位、逆に硬くてダメージが通りにくい部位が存在します。
しかし、防御力というと普通は「高いほと硬い」というイメージを持つと思いますが、モンハンの場合は逆で「低いほど硬い・高いほど柔らかい」というステータスです。
百聞は一見に如かず。実際にリオレイアの部位をいくつか選んで攻撃してみましょう。
なお、全て同じ技で測定しています。具体的には片手剣・立ち状態からXボタンの「縦斬り」を使用。斬撃攻撃ですから斬撃の肉質が適用されます。
また無属性武器で、かつ会心率のブレが発生しないように会心率100%の「ハイニンジャソード」を使用しています。
さて、3部位ほど攻撃してみました。実際の肉質表と見比べてみましょう。
部位 | 斬肉質値 | 実ダメージ |
---|---|---|
頭 | 70 | 40 |
脚 | 40 | 24 |
尻尾 | 45 | 26 |
このとおり、肉質の数値が大きいほどダメージが大きくなります。
今回は斬撃肉質にのみ話を絞りましたが、打撃・弾の場合や、属性の場合でも話は同じです。
部位破壊等の目的がなければ、数値が大きい部位を狙うほど大きいダメージを与えることができ、よりスピーディーな狩猟が行える、ということになります。
これだけ知っておけば基本はOKです。詳細なダメージ計算なんて知らなくても、とりあえず数値が大きい部位を狙っておけばまず間違いないといえます。
なお、硬い部位を攻撃した場合は表示されるダメージの文字が白く小さいものに変わります。上記の例の3部位は全て柔らかめなのでオレンジ色の大きい文字が出た、というわけです。
次は、この肉質に関わるスキルをいくつか紹介します。
2.肉質に関わるスキル
さて、この肉質の値によって効果が発揮されるかどうかが決まるスキルがいくつかあります。
特に「弱点特効」は有名なスキルで、攻略サイト等でも推奨されることが多い強力なスキルです。
スキル「弱点特効」
「モンスターを攻撃した際、その部位に攻撃がかなり有効であれば、会心率が上がる」というのがゲーム内の説明です。
「かなり有効」というのがどれくらいを指すかというのは非常に曖昧ですが、これは「肉質が45以上の部位を指す」ということです。
上記のリオレイアの肉質表をみると、斬撃の場合「頭部:70」「翼:45」「尻尾:45」が弱点特効の有効部位ということになります。
このスキルを利用するのであれば、上記の部位を優先して攻撃したい、ということになりますね。
百竜スキル「弱点特効【属性】」
この「弱点特効」の属性ダメージ版が「弱点特効【属性】」です。ただし防具のスキルではなく、武器の百竜スキルとなります。
こちらは「属性肉質25以上」が発動条件です。リオレイアに龍属性武器で攻撃した場合、「頭:龍30」と「翼:龍25」に対して有効であると言うことになります。
上記の画像は火属性武器ですから、あらゆる部位に対して有効ではありませんが。
スキル「心眼」
最後に「心眼」です。「攻撃が弾かれづらくなる」の説明はさておき、後半の「硬い部位へのダメージが上がる」の部分が肉質に関係します。
これは上記でちらっと触れましたが、「表示されるダメージの文字が白く小さいもの」になった場合に効果を発揮します。これは上記の「弱点特効」の「肉質45」とは異なるもので、武器の斬れ味によって発動する肉質の数値が変わります。
斬れ味の色 | 発動する肉質値 |
---|---|
赤 | 89 |
橙 | 59 |
黄色 | 44 |
緑 | 42 |
青 | 37 |
白 | 34 |
※黄色ゲージ以下で発生するアクションの出始め・出終わり補正は考慮しない
こちらも百聞は一見に如かずだと思うので、実際の適用例を見てみましょう。
心眼Lv3スキルを発動させた緑ゲージのハイニンジャソードの例です。
肉質の数値上では本来は尻尾の方がダメージが大きくなるはずですが、心眼スキルの効果で脚の方が大きいダメージが出ています。
ただし、同じ条件でも一番の弱点である頭の方がダメージが出ています。心眼Lv3スキルの補正は1.3倍ですが、それでも一番の弱点の方がダメージが出るというわけです。
基本的に「一番の弱点を狙った方がダメージは大きい」、一方で「多少固めの部位を殴っても大きなダメージが出せるようになる」スキルと思っていただければ大丈夫と思います。
ということでここまでが中級編です。肉質を参照するスキルについて理解できれば、実際の狩猟でまず困ることはありません。
そして次の項ではダメージ計算式についていろいろ触れていくわけですが、実際の狩猟に当たって読む必要はほとんどありません。
机の上でいろいろ計算しているより、実際にモンスターを攻撃してダメージ数値を見た方が早いからです。
『MHXX』以前はダメージ数値表記がありませんでしたから、スキル構築をする際にはダメージ計算が欠かせないものとなっていました。
しかし『MH:W』以降はダメージ数値の表記が登場し、いちいち計算しなくても実際に殴ってみればすぐに分かるようになりました。しかも、クエスト中に防具を変えられるようにもなったので、比較したい場合も複数の防具セットを用意しておけば済みます。
もはやハンターは、いろいろ計算をしなければならない時代ではなくなったのです。
それでもダメージ計算についていろいろ見ておきたいという方は、続きをどうぞ。
3.肉質の数値について(ダメージ計算式入門)
1.の項で「肉質の数値が大きいほどダメージが大きくなる」ことを示しました。それでは、実際のダメージ計算上で肉質の数値はどのように扱われているのでしょうか。
近接武器における実際のダメージ計算式を示します。ガンナーはもうちょっとややこしいですが、基本的な部分は大きくは変わりません。
物理ダメージ(A)=攻撃力×モーション値×斬れ味補正×武器補正×会心補正×物理肉質
属性ダメージ(B)=属性値×武器補正×斬れ味補正×属性肉質
最終ダメージ=A+B×全体防御率
ちんぷんかんぷんでしょうから、簡単に説明します。
「攻撃力」および「属性値」とは、メニュー画面の「ステータス」の2ページ目に表示されるハンターの攻撃力および属性の値です。
作品によっては「武器倍率」というややこしい概念が挟まってくる場合があるのですが、本作では気にせず表示された数値をそのまま代入してOKです。
「モーション値」とは、ハンターの技そのものに設定された威力のことです。片手剣の縦斬りのような小技は威力が小さいけど、大剣の溜め斬りのような大技は威力が大きい、というイメージです。
ちなみに上記の試し斬りで使用した片手剣の縦切りの威力は14です。単位は%ですから、実際の計算時には0.14という数値を掛けることになります。
詳細なモーション値に関してはとんでもない量になってしまうので外部サイトを参照。前々回の記事で紹介した「kuroyonhon.com」様あたりがおすすめです。
なお、属性値に関しては基本的にモーション値は無関係です。ただし、一部の技には個別で属性ダメージに補正が掛かっている場合があります。
「斬れ味補正」とは、武器の斬れ味の色による補正です。斬れ味の質が良くなるほどダメージが高くなります。
先ほどの心眼スキルの説明で斬れ味によりダメージ表記の色が変わる肉質ラインが変わるという現象の正体はこの補正です。
こちらも長々と表を立てることになるので詳細は省きます。物理補正の緑:1.05・青:1.20・白:1.32という数値は頭の隅に置いておいても良いかも。
「武器補正」とはその他の武器そのものの特殊な補正です。例えば双剣の鬼人化、太刀の練気ゲージの色……など、武器種によっては状態によって攻撃力が変化する仕掛けが施されている場合があります。
「会心補正」は会心ヒット発生時に発生する補正です。基本的に1.25倍ですが、スキル「超会心」によって変化させることが出来ます。また、スキル「会心撃【属性】」を発動させると属性ダメージのもこの補正が発生します。
ここまでがハンターが与えるダメージの計算です。残りの「物理肉質」「属性肉質」「全体防御率」がモンスター側が防御する部分の計算になります。
今回の本題、「物理肉質」「属性肉質」は上記の肉質表に載っている数値そのもの。ただしモンスターによっては何らかの状態変化で肉質が変化する場合がありますが、そこまでは記載されていません。
単位は%。つまり肉質70(%)ならハンターが与えるダメージに0.70を掛け、肉質45(%)なら0.45が掛けられます。これが肉質の数値が高いほど与ダメージが高くなる仕様の正体です。
ちなみにガンランスの砲撃、狩猟笛の音波ダメージ、タル爆弾のダメージなど、肉質を参照しないダメージも存在します。「肉質無視ダメージ」と通称されていますね。
「全体防御率」は、ハンターが与えるダメージの軽減処理です。肉質とは違い全ての部位に対するダメージにまとめて影響します。上記の肉質無視ダメージもこちらは無視できません。
ダメージ表示がなかった『MHXX』以前では大々的に用いられていた補正であり、主にクエストランクによって設定されていました。最上位のG級クエストでは70%前後はザラ、最難関のイベントクエストなどでは50%を切っていることさえありました。
しかし『MH:W』以降ではダメージ数値表示が実装された関係であまり大きな補正は用いられておらず(全く使われていないわけではない)、本作でも目立った影響はあまり見られません。代わりにモンスターの体力を高くしてバランスを取っています。
さて、ダメージ計算式について簡単な解説をしたところで、実際に計算をしてみましょう。
以下の例に則って計算をしてみます。
攻撃対象はリオレイアの頭。斬肉質は70、雷肉質は20
これに対し、攻撃力200・緑ゲージ・雷属性30の片手剣で旋刈り(モーション値:55、武器補正なし)を当て、会心が発生した場合のダメージを計算します。
緑ゲージの補正は物理1.05/属性1.0です。スキルや全体防御率は考えないことにします。
これを上記の式に代入すると……
物理ダメージ=200×55%×1.05×1.00×1.25×70%=101.06 端数切り捨てなので101
属性ダメージ=30×1.00×1.00×20%=6
最終ダメージ=101+6=107ダメージ
ということになります。
さて、これが簡単なダメージ計算です。
実際は様々な補正やスキル効果が組み合わさるのでこんなに簡単にはいかないですし、いちいち計算する必要もありません。
先ほども述べたとおり、とっととクエストに出て実際にモンスターを殴って数値を見た方が明らかに楽です。
ゴタゴタ計算するよりも狩場で実践!これがハンターにとって一番なのかもしれません。