Tea-Wi's Peaceful World

プレイしたゲームとかの記録をつれづれと( ❛‿❛ )

【KH3】キングダムハーツIII ストーリークリア感想



ストーリークリアしました。難易度的には初見プラウドで十分だったかもしれませんね。
クリア後要素等やDLCストーリーなどもやる予定ですが、ひとまずストーリークリア時点での感想を述べたいと思います。
一応最終決戦以降の内容についてはブラックアウトさせていますが、道中ワールドのネタバレは一切自重していないのでご了承を。
ちなみにXbox Series Sでのプレイです。フレームレートは安定して高く、特段処理落ちする面も見受けられなかったのでやっぱりフルHD環境ならSで十分なのでしょう。

ゲーム部分に関しては、「過剰なまでの遊び要素を詰め込んだ」内容、「完成度の高いディズニー世界」、「アクションRPGとしても水準以上の安定した完成度を持つ」、といった要素は今回も文句なく抑えており、総じて高水準の内容です。
一方、作を追うごとに訳がわからなくなると定評があるストーリーに関しては、今作ではソシャゲ『χ』シリーズの内容を本編に深く絡ませるという暴挙に打って出たこともあり、発売当時「もう付いていけない」という声が少なからず上がったのもうなずける出来だったと言わざるを得ません。開発期間が足りなかったのか終盤のストーリーがかなり圧縮されてしまっていたのも残念な点です。
とはいえこれも予想できる範疇ではあったので、総じて期待値を大きく上回りもせず、下回りもしない、概ね想定の範囲内のゲームだったと言えるでしょう。
プレイ前に期待していた期待値が50だとしたら、実際50ちょうどくらいの内容が出てきた、といった印象です。

バトル面は『KH2』ほどの爽快感がないと事前に聞いていましたが、近年のKHは単純なボタン連打が通用しない傾向が強くなっていたので、それを加味すれば十分な爽快感があるといえます。
今作の新要素であるシチュエーションコマンドは基本的に「攻撃してゲージを溜める」「ゲージが溜まったら時間内に発動して武器ごとのフォームにチェンジ」「任意のタイミングで固有フィニッシュ」であり、『BbS』のコマンドスタイルシステムを整え直したという印象です。『BbS』の勝手にスタイルチェンジしてしまうせいでプレイスタイルの幅が物足りないという欠点を上手くカバーできていると感じました。
同様に小型の敵こそゴリ押しで倒せるものの、中型以上の敵は多くが怯み耐性(殴り続けると怯むので『3D』と同じ仕様と思われます)や強制反撃を搭載しているため、ある程度はちゃんと敵の行動に対応することが必要です。個人的には評価点ですが、人によっては気になる点になるかもしれません。

ただ『KH2』のリアクションコマンドは上手く調整すれば連打ゲーの誹りを払拭しつつ引き継げたんじゃないかなぁと思うので、なくなってしまったのはちょっと惜しいですね。特にノーバディ「ギャンブラー」のゲームが丸々なくなってしまったのは少し寂しかったり。

1つ重大な欠点を述べると、今作はアビリティ「ラックアップ」を搭載した武器が登場してしまっています。
上記のバトルレポートにもある「ファボデピュティ」がそれで、素材集めを考慮すると武器がほぼ固定化されてしまう事態を招いています。
今作はキーブレードを強化できるし、フォームチェンジの性能も高いので、後半になって力不足になるかというと全く心配無用です。ただ、KH2→KH2FMで一度削除されていたラックアップ搭載の武器を今作で再登場させてしまった理由が全く理解不能です。
合成素材集めなんて必要になればやればいい、と言われればその通りなのですが、今作はソラがラックアップを自力で習得できないため、自力習得可能にして武器は別のアビリティにすれば済む話だったのではと思ってしまいます。

ワールドについて。
今作の参戦ワールドは以下の通りです(イベントシーン限定等は除く)。
KHオリジナル
・トワイライトタウン
・キーブレード墓場
・(ラストワールド)
ディズニー作品
・オリンポス(『ヘラクレス』)
・トイボックス(『トイ・ストーリー』)
・キングダム・オブ・コロナ(『塔の上のラプンツェル』)
・モンストロポリス(『モンスターズ・インク』)
・100エーカーの森(『くまのプーさん』)
・アレンデール(『アナと雪の女王』)
・ザ・カリビアン(『パイレーツ・オブ・カリビアン』)
・サンフランソウキョウ(『ベイマックス』)

KH2』と比べると若干少なめのラインナップですが、『KH2』は約半数が前作に登場したラインナップだったため、新規ワールドとしては遜色ない数を揃えていると言えるでしょう。

まず、どのワールドも原作の世界観を見事に再現し、大量に遊び要素を仕込んでいます。
今作は過去作までとは異なり、1つのマップが非常に広くなり自由自在に探索が出来ます。中にはストーリーで訪れるのは全体の広さの数分の1に過ぎないという振り切れた内容のものもあり、ストーリーで行かない部分にはたいていの場合宝箱があったり「幸運のマーク」という収集要素があったりと探索意欲を存分に煽ってくれます。当然のようにミニゲームの類も大量に仕込まれています。


↑ザ・カリビアン。本当に自分の海賊船を手に入れたソラは広大な海を自在に探索することが出来る。


↑サンフランソウキョウ。原作同様どこか間違った日本風の都市が再現されている。
 新要素「アトラクションフロー」で広大な都市を飛び回ったりも出来るし、ボス戦やミニゲームでは画像のようにベイマックスに乗って戦うことが出来る。

各ワールドのストーリーは今作では「原作再現」「原作の後日談」のどちらかに振り切れているものが多いのが特徴です。
「原作の後日談」になっているのは『トイ・ストーリー』『モンスターズ・インク』『ベイマックス』が該当しますが、こちらは原作再現にこだわっていない故に完成度が高く、特にベイマックス』のストーリーの完成度はなかなか出色です。全体的に『KH1』に近い雰囲気で上手くまとめられています。
一方、「原作再現」になっているのは『塔の上のラプンツェル』『アナと雪の女王』が該当しますが、案の定ストーリーが飛び飛びで非常にわかりづらいものとなってしまっています。特に『アナと雪の女王』はほぼ全体のストーリーが飛ばされており、ソラ一行はひたすら敵の妨害を受け続けるだけであまり楽しめる要素がありませんでした。マップの完成度はめちゃくちゃ高いんですけどねぇ。
ヘラクレス』『くまのプーさん』『パイレーツ・オブ・カリビアン』に関してはほぼオリジナルストーリーです。『パイレーツ・オブ・カリビアン』は一応原作再現ではあるのですが、ソラ一行が早々に本筋から脱落し、合流後も「いろいろあった」で済まされるので、ほぼオリジナルストーリーと捉えていいでしょう。

それぞれのワールドで本作の敵である真・XIII機関の面々が暗躍しているわけですが、ちゃんと「世界の秩序を乱す悪役組織」という描写は出来ていた印象です。
各ワールドでの行動も世界観に大きく反してはおらず、その世界観の中で目的を達するために様々な活動を行っているという印象が強まりました。
それ故に今作ではディズニー側のキャラに後塵を拝するという図も多く見受けられるようになり、世界観から完全に浮いた存在になっていた印象が強かった『KH2』と比べると上手くまとまった印象はあります。


↑ヴァニタスを捕獲し世界から追い出そうとするサリーの図。

ストーリーの出来にムラはあるものの、ゲーム部分の完成度は総じて高い各ワールドですが、「100エーカーの森」だけは首を傾げる出来だったと言わざるを得ません。
以前のように様々なマップを行き来できるわけでもなく、ミニゲーム自体も3種類あるように見せて中身は同じミニゲームの難易度違いに過ぎず、ストーリー上も登場した必然性がいまいちわからないです。開発の早期に登場を決めてしまったが故に無理にねじ込まざるを得なくなった印象が否めません。

メインストーリーについて。
上述の通り、本作でストーリーの本筋にソシャゲ『χ(キー)』シリーズが絡むという事態になったため、途中で完全に理解を放棄しました。
ゲームに収録されている過去作のあらすじムービーは全て家庭用シリーズのものであり、『χ』シリーズのものは一切カバーされていません。にもかかわらずメインストーリーに絡めたというのは重大な手落ちと糾弾せざるを得ないでしょう。
今作も『3D』に搭載されていたキーワードグロッサリーがありますが、『3D』の時と比べると端的な説明が多く、複雑怪奇なストーリーの理解の役に立つかという点はかなり疑問です。
また『3D』の時と異なり、キーワード入手時に一切メッセージが出ないのもマイナス点です。

また、上記の点を抜きにしても、最終盤のキーブレード墓場に突入した段階で急にストーリーが圧縮された印象が拭えません。
というのも、上記の各ワールドでひとりずつ真XIII機関の面々が登場し徐々に目的が明らかになっていくという展開は決して悪くないものであるのに、最終ワールドで一気に最終決戦になってしまうため、とにかく圧縮されているのです。
しかも何故か機関員との戦いが2~3人との集団戦で、ひとり倒すごとにイベントムービーが流れるという非常にテンポが悪い内容なのも印象として良くありません。
また、『BbS』~『3D』で予告されていた「キーブレード戦争の再現」がかなり拍子抜けもので、全ての世界からキーブレード使いが集まり大戦争が起こる、とされていたものが単に光のソラ一行7人vs闇の機関13人になってしまったため、前振りからのスケールダウンは否めません。

そして何より問題なのは、本作は「第一部『ダークシーカー編』 完」を銘打った作品であったことです。
というのも、本作で回収された伏線の数以上に大量に謎がばらまかれたと言わざるを得ないのです。
しかもその謎も「次回作への伏線」であればまだ良いのですが、「過去作で描写されていた内容と明らかな差異があり、むしろ謎が深まった」というものが散見されます。
これを上記の終盤のストーリー圧縮によるしわ寄せと取るか、「第一部完」を反故にする気なのかは正直本作単体ではわからないと言わざるを得ません。一部はDLCで補完されているらしいのですが……。

――――
以下、最終決戦以降のネタバレ回避のためブラックアウトします。

決戦時に光のメンバーが1度敗北するシーンがあり、コメント曰く本作で一番批判が多いイベントらしい(「ファッション絶望」と呼ばれているらしい)のですが、確かに各メンバーの戦意喪失が早すぎるという点は否めません。
しかし、ソラはずっと一緒に旅をしてきたドナルドが倒れる、作中で散々3人揃って1人前と言われ続けている、光と闇の全面戦争の実戦経験があったとは言い難い、など一応戦意喪失する理由としてわからなくはないです。
むしろ問題はアクアで、キーブレードマスターのひとりであり、更に『BbS』でマスター・ゼアノート一味との全面対決を経験しているにもかかわらずソラよりも先に戦意喪失する体たらくです。リクが最後の最後まで粘っていたのとは大違い。
個人的にはここでかなりがっくりきてしまいました。確かに猛批判を浴びるのもやむなしと言えます。
あと、ソラの自分探し(物理)~仲間のハート救出イベント後に時間が戻りこの決戦に戻るのですが、実際のところこの決戦の活路を開くのがソラではなく『KH2FM』でお馴染みの留まりし思念であり、結局あのイベントは何だったの?って感じになりました。このあたりも、本来は間にもっとイベントを入れるつもりだったのではないかと邪推してしまう要因です。

エンディング。
最後の最後でソラが消滅します。まあこれは次回作への伏線という類の謎でしょうからそこまで問題視はしませんし、作中の描写を見る限りでは若ゼアノートが散々煽っていた「力を誤って使った代償」というやつなのでしょう。
カイリの救出の他、各ワールドのマップを巡り(『KH1』の「エンド・オブ・ザ・ワールド:世界の牢獄」を思い出しました)、仲間のハートを救出していくシーンの「代償」に該当するようですが、そもそも目の前に仲間のハートを奪おうとしているハートレスが居るならば倒すのが当然なので、この「代償」によってソラが消滅するところまでが闇側サイドの計画だったのでしょう。その割には消滅が遅すぎる気がしますが……。
そしてシークレットムービーでソラが登場したのが何故か日本の渋谷。一部のオブジェクトが異なるようですが、そういえば渋谷が舞台の野村氏のゲームには『すばらしきこのせかい』があったような……。これも本筋に絡める気なのでしょうか。

もっとも、ラストバトル自体は『KH1』以来久々にソラ・ドナルド・グーフィーのPTで本格的に戦えたうえ、バトル自体がこの2人が仲間に居なければ決して勝利できなかった内容であったため、1作目からずっと一緒に冒険してきた3人で決着を付けられたという点はポイントが高かったです。
あと、個人的には『Days』の面々にもフォローがあったのも良かった点です。わたしが一番好きな作品は『Days』と以前から公言していただけあり、ちゃんとあの親友3人が再会できたのは嬉しかったです。
一方、『BbS』の面々はかなり描写の飛びが多く、首を傾げる点が多かったです。

――――
ホワイトアウトここまで。

本作を総評して、「ゲーム部分を重視するならば十分遊べるゲームでしょう」。「ストーリー重視なら理解を放棄してプレイした方が良いと思います」ということになります。
極端なプラス点とマイナス点に振り切れた内容であるため、どちらを重視するかで大きく評価が分かれるゲームということになります。個人的には前者だったので十分楽しむことが出来ましたが。
DLCの追加ストーリー等をプレイすれば評価に変化が出てきたりする可能性もあるので、そちらもプレイしたら感想を書きたいと思います。