Tea-Wi's Peaceful World

プレイしたゲームとかの記録をつれづれと( ❛‿❛ )

ウィザードリィ外伝 五つの試練:「泡いっぱいの日々を」プレイ記録その1

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「泡いっぱいの日々を」タイトル画面

シナリオ作者:Nero氏

旧版HP:【シナリオ詳細:泡いっぱいの日々を 】ウィザードリィ外伝〜五つの試練〜

Wikihttps://w.atwiki.jp/wiz-fo/pages/298.html

前回の「滅亡雷神vs迷宮」で途中脱落したシナリオですが、改めてフウカ一行でプレイしていきます。
上記のWikiには「短編」と書かれているのですが、実際は20x20の7層となかなかの長さで、クリア後の隠しダンジョンも用意されているなど実は中編クラスの規模を持ちます。

これも前回ちらっと触れましたが、このシナリオは探索中に固定アイテムが多数手に入ることが大きな特徴です
そのためビショップの重要度が非常に高く、今回はビショップを入れた構成でプレイしていこうと思います。

今回は前回探索済みの地下1~3階を圧縮しているのでかなり文字数多めです。お読みになる際には適宜ご休憩など挟むことをオススメします。
ついでに探索パートがあまりないので茶番も多め。

以下いつものテンプレ。

*おしらせ*
マッピングツールは「方眼紙マッピング」を使用。
・アイコンはいろいろカスタムしています。
・呪文名はいわゆる「トゥルーワード」に変更は *しません*
・プレイしながら記録していたメモをほぼそのまま載せてます。
・ネタバレに対する配慮はありません。

キャラ作成

アキ:Dwa-G-Fig BP19
今回はフウカが僧侶になっている関係で最前列。
いつものような安定した活躍に期待。

マナカ:Hum-G-Fig BP26
高めのBPが出た関係で侍と迷ったが、今回は僧侶が前列に出ている関係でやや脆いPTなので戦士を選択。
いずれ転職するかは悩みどころ。

フウカ:Gno-G-Pri BP27
今回はビショップを入れる関係で僧侶スタート。その関係で人間ではなくノームになっています。
「EJ」のスペシャルパワーは装備していなくても使えるのだろうか。確認していない。
もし使えるなら簡単にロードになれるのだが……。

カナヤ:Hob-N-Thi BP19
今更だけど盗賊で男性ってのはあまりメリットがない。
直接攻撃に期待する職業ではないし、BP振りも生命力・素早さ・運に振らなければならない関係上全然余裕がない。
特に前回の悪夢を見ていると運は妥協できない。20は欲しい……。

ユマ:Elf-G-Bis BP27
鑑定が重要なシナリオなので初期ビショップを投入。
戦力的には苦しくなるがやむを得ない。
BPが高いお陰でエルフの生命力を補えたのはかなりの幸運。

ナオ:Elf-G-Mag BP19
ビショップが居る関係で火力不足気味のPTなので呪文ダメージの知恵ボーナス狙いでエルフにしてみる。
初期知恵20がどれほど活きるか。とはいえ素早さが低いので序盤はかなり苦しい予感。

ストーリー

ヴィアン城の城下町。故郷を追われた者が流れ着くことで有名な町であった。

この町の外れにはこの世界の誰にも理解できないと称される迷宮がある。
そこは世界の果て、誰もが無力のままに消え去っていく場所――

フウカたちもひょんな偶然からこの町を訪れた。
酒場で情報収集をしていると、1組の哀れな冒険者たちが迷宮から帰ってこなかったという話で持ちきりとなっていた。
かつて大罪を犯した者たちが再起を期して突き進んでいったが、後がない彼らには慎重さが足りず、いずれああなっていただろうと多くの客が語っていた。

興味本位で潜るには危険なダンジョンだ。
だが、フウカたちの結束は固かった。意を決し、ダンジョンに脚を踏み入れる。
その先に待つのは、栄光か、それとも破滅か――

地下1階

序盤の資金繰りが結構大変。
序盤から持てる武器で一番強いのは事実上「バトルアックス」なのだがそれでも200ゴールド。1500ゴールドの「ロングソード+1」なんて夢のまた夢。
防具面も当面は戦士も「チェインメイル」と「ラージシールド」だけで我慢するほかない。頭と腕防具が高すぎる……。

そして盗賊が後列から攻撃するために必要な「ショートボウ」は600ゴールド……。当面は「ダガー」で「隠れる→奇襲」で戦うしかないか。
当然後列用の防具なんて買う余裕はありはしない。幸い前回の経験上このシナリオは後列攻撃を持っている敵は多くなさそうなのが救い。

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地下1階から2グループ出現が多発。

地下1階へ。
このシナリオ、地下1階から複数グループ出現があったりスペルユーザーが出てきたりと結構難易度が厳しめ。「スリープ」などを駆使しないと簡単に狩られかねない。
お約束の階段下回転で徘徊エンカを狩りながらお金を貯めていく。このレベルで宝箱を開けるのは無謀過ぎる。

Lv5まで稼いだ。前列の攻撃回数が2回になり、ナオが「サンダー」を覚えるなどかなりの戦力が確保できた。
しかし資金面は苦しく、ようやく前列に頭装備の「ターバン」が行き渡ったところ。本当は「プレートメイル」を買いたいがそんな余裕は到底ない。
手動マッピングは済んでいるので、とりあえず地下1階を進めていく。

玄室も開けて行く。宝箱から「睡眠の巻物」が出れば一気に資金繰りが楽になるんだが……。
ブロンズキー」を入手して中央のスイッチを押しに行き、扉の鍵を開けてダークゾーン方面へ。
Lv5ともなれば戦闘で苦戦する要素はない。安心して「アイアンキー」を入手。スイッチを押して一度帰還。

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使い終わったキーアイテムを売却して資金源にできるのは面白い試み

これで鍵2本は用済みになり、売却すればそれぞれ250ゴールドになる。
もしまた全滅したときのことを考えると売るのはリスキーなのだが……それでも序盤の資金繰りが非常に苦しい本シナリオにおいては重要な資金源だ。
これでようやくカナヤが「ショートボウ」を買える。「隠れる」に頼らなくても戦えるようになった。……ないよりはマシ、程度だが。

まだ資金に余裕がある。「プレートメイル」2つか「ロングソード+1」1本かのどちらか悩んだが、ここは「ロングソード+1」を選択。
1ヒット当たりの攻撃力が一気に5も増える。原作Wizと比べるとパワーアップ幅がめちゃくちゃ大きい。代わりに攻撃回数強化がないようだが……。

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散らかったテーブルに置かれている「戦士の指輪」

「アイアンキー」のスイッチで開けたダークゾーン内の扉から先へ。
ある小部屋には「戦士の指輪」が置かれている。HP+10%の効果がある指輪だ。
その後「シルバーキー」を入手。中央のスイッチ部屋でスイッチを入れて銀の扉オープン。

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拾得物。この段階で「キュアオール」はオーバースペックすぎる

銀の扉の先は1マスの部屋が規則正しく並んでいる。
一部の扉には宝箱が仕込まれており、キーアイテムの「ゴールドキー」の他には「火炎の巻物(メガファイア)」と「回復薬+2(キュアオール)」が配置されている。

ゴールドキー」で地下2階への扉を開き、開通を確認したら帰還。
鍵2本の他、入手した「火炎の巻物」や「回復薬+2」はどちらも現時点では活かせないので素直に売却。
特に「回復薬+2」はなんと1000ゴールドであり、ようやく資金難に区切りが付いた。
これを自力で鑑定できるビショップが居るかどうかはかなり資金繰りに差が付きそうだな……。

アキとマナカに「プレートメイル」、フウカに「レザーグローブ」を買い与える。
まだかなり資金は余っているので、カナヤに「イトクロスボウ」を買う。2500ゴールドとかなり高価だが、長射程武器ながら攻撃力はロングソードをも上回る。
これで資金がまた苦しくなるが、最悪の場合「戦士の指輪」(2500ゴールド)を売ればいい。

ひとまず地下1階でやるべきことは完了。
地下2階に進むことにする。

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地下1階マップ。序盤から探索難易度はなかなか。

地下2階

マップ端ループが早くも登場し、かなりマッピングの難易度が高い。
もちろん前回マッピングを済ませているのでサクサク進行なのだが……。

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「魔法使いの指輪」。MP最大値すら無視して回復していくので強力。

何はともあれまずは「魔法使いの指輪」を入手。
歩くとMP回復」という特殊効果を持った指輪だ。もちろんナオに持たせる。
地下2階の敵はナオの知恵21からの「サンダー」で大体ケリが付く。MPを水増しする効果は重要だ。

この階層でやるべきは「ファイアークリスタル」と「ブラックオニキス」を入手し、「ムーンストーン」を手に入れること。

ファイアークリスタル」はマップ南西の隠し部屋の奥にあるのだが、6連戦を強いられる。門番の老人曰く「戦いの宝石」らしい。
とはいえこの階層の敵は大したことはなく、上記の通り大体の場合はナオの「サンダー」で決着が付く。「修験者」などの呪文使いはフウカの「サイレンス」でどうにでもなる。

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ファイアークリスタルまでの最後の関門、泥人形

最後に控える「泥人形」はかなりの低ACだが、「テラー」あたりを重ね掛けすればOK。危なげなく「ファイアークリスタル」を入手。

ブラックオニキス」はマップ中央部の「クラーケンの井戸」の奥にいるクラーケンを倒さなければならない。
ファイアークリスタル」の部屋の近くのスイッチを入れないと通れないので、順番としてはこちらがあとだろう。

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タフさに定評がある「クラーケン」。他はガバガバ

耐久力がとても高いが、耐性はガバガバで「ストーン」の石化まで効いてしまう
経験値が異常に少ないのは腹立たしいところ。

さて、このクラーケンを倒すと「どこかで扉が開いた」と表示される。
マス的には近いのだが、実際はマップをほぼ1周しないと行けないところにある。
ちなみにノーヒントに見えるが、ちゃんと開いた場所は「ウィザードアイ」のマップに表示される。丹念にマップを埋めていれば気づくだろう。
開いた扉の先で「ブラックオニキス」を入手。

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2つの宝石でオーバーレイ!

揃った2つの宝石を「魔法使いの指輪」の向かいの部屋で合成することで「ムーンストーン」が完成する。
これを地下1階からの階段近くの通路の先に陣取っている兵士に渡す。

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ブラック王国極まりないかわいそうな軍人たち

見知らぬ国の軍隊が駐留していて前に進めない。
やがて、隊長らしき男が進み出てきた。

「我々は我が国王の命により、失われたムーンストーンを探している。
探し出すまでは、軍を引き上げるわけにはいかないのだ」

フウカは2つの宝石を合成して作られた「ムーンストーン」を差し出す。

「おお、これはムーンストーン
我々はこれを20年も探していたのだ。
王に献上するために軍を引き上げ、地上に帰るとするか。
感謝するぞ、冒険者よ!」

足早に軍隊は立ち去っていった。
……20年にわたり地下探索を強いられていた軍人たちにフウカは心の底から同情した。

これで地下2階の探索は終了。地下3階へ進めるようになる。

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地下2階のマップ。序盤にしてはかなり複雑。

地下3階

※ここから茶番濃度が上がります

メンバーがLv7となった。特にナオの「レビテイト」のお陰で敵の先制攻撃を封じられるのは大きい。
地下3階については前回の記事でも割と詳細に触れているが、かなりイベントの密度が高く面白い階層だ。

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見た目的に魔除けを奪ったりもしてそうな大魔術師だが、
このひとは普通にいい人です。俗っぽいけど

階段の近くにあった大魔術師の部屋に入る。
扉の傍まで錬金術の器具が所狭しと乱雑に置かれており、ナオが危うくつまずきそうになったが、フウカに支えられて顔を赤らめている。
ユマが部屋の中で水晶玉の手入れをしている老人を見つけた。

「よくぞ来たな、冒険者
 わしはこの国一番の大魔術師マーリンじゃ。
 そなたがここに来ることもわかっておったぞ。
 この水晶玉で、この迷宮に足を踏み入れたときからずっと見ておったからの……」

その膨大な魔力を感じさせない気さくさで、大魔術師マーリンはフウカたちに声を掛けてきた。

「実は少々困ったことになってな。その……恩給が差し止められそうなのじゃよ
 全くアーサー王め、わしが今までこの国にどれらだけ貢献してきたかも忘れおって……。
 そこで鉛を黄金に変える魔法を研究しておるのじゃが、材料が足りんのじゃ」

錬金術ですか……。未だにその方法は確立されていないと聞きましたが」

パーティいちの博識であるユマが大魔術師に問う。

「材料が誤っていたのじゃよ、材料が」

大魔術師は笑いながら答えた。

「おぬし、ドラゴンを見たことはあるか?
 そう、死の魔界からやってくるあの恐ろしい生き物じゃ。
 この迷宮にはその中でもとびきり凶悪な、真鍮のドラゴンの巣がある。
 ま、普段は修道士のエセルバートがドラゴンの洞窟の封印をしておるのじゃがのう……」

伝説の生物、ドラゴン。
この迷宮はこんな浅い階層にドラゴンが陣取っているのか。生還者が少ないという話もうなずける。
身をこわばらせたフウカたちだったが、そんな姿を意に介さず大魔術師は話を続けた。

「お前たちならば真鍮のドラゴン退治もできるだろうと思ってな。
そして、ドラゴンのウロコを剥ぎ取ってきて欲しいのじゃよ。簡単じゃろう?

「とびきり凶悪なドラゴン」と言っておきながら「簡単じゃろう?」とはとんだ言い草だ。
無表情の中にも不快感をにじませる慎重派のフウカに対し、好戦的なマナカは強敵の存在を告げられてうずうずしている。

「もしも首尾良くウロコを持ってきてくれたなら、わしの魔力のこもった指輪を褒美にやってもよいぞ。
 これほど強力な指輪は、お前たちのこれから先の冒険でもきっと役に立つぞ。わしの頼みを聞いてくれるな?」

指に付けているリングを見せてマーリンは言った。
確かに膨大な魔力を秘めているのがわかる。
フウカたちは一度顔を合わせ、依頼を受けるかどうかを確認しあう。とはいえ、この依頼を受けなければ先に進むことはできない。
結局腹を括るしかない。フウカは大魔術師にこう応えた。

「その依頼、引き受けよう」

「よしよし。――とは言ってもわしも力を貸すから心配するでない」

そう言ってマーリンは手から魔力を迸らせ、その直後に閃光が放たれた。
思わず目を閉じるフウカたち。再び目を開いたその瞬間には、豪奢な装飾を纏った白銀の騎士剣が目の前に突き刺さっていた。

「この剣を持っていくが良い。エクスカリバージュニア、EJという名の名剣じゃ! 
 アーサー王エクスカリバーにもひけを取らんぞ!」

剣を手に取るマナカ。今まで持っていたロングソード+1よりも軽く、鋭いこの剣は、確かに「名剣」と呼ぶにふさわしい力を持っているようだった。

「おっと、肝心なことを言い忘れておった。ドラゴンのウロコはメスのものでなければならぬ
 オスのウロコは錬金術には使えないのでな……ではよろしく頼むぞ。
 わしは秘法の研究を続けねばならんのでな」

そういってマーリンは錬金術の実験に戻っていった。他のことに興味が湧かないようだ。

満面の笑みで「EJ」の素振りを繰り返すマナカ。ユマはあることに気づいた。

「この武器、よく見ると鍔の装飾の可動部は現在の方向を示しているみたいよ」

しかも魔力を込めてみたら現在の座標が表示された。想像以上に優秀な武器のようだ。
退路を失わないことに気を付けつつ、慎重に進んで行こう。

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「EJ」の性能。特殊効果モリモリで、迷うことはなさそうだ。

ということでフウカ一行のドラゴン退治の冒険の始まり。
ちなみにこのシナリオは未装備状態ではSPを解放できなかった。フウカはこのまましばらく僧侶で頑張ってもらうしかなさそうだ。

奥に進む扉を潜ると看板が立てられていた。

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トレボー サックス!

この迷路は、名声に目が眩んだ愚かな冒険者が迷い込んでこないように私がこしらえたものだ。
道に迷って行き倒れになりたくなければすぐに立ち去れ。
腕に自身があるなら迷路に挑んでも良いぞ。
手がかりを残しておこう……

*** CONTLA-DEXTRA-AVENUE ***
記:修道士エセルバート

Wizを知っているプレイヤーならば聞いたことがあるであろうこのフレーズ。
いろいろな意訳があるが、端的に言えば「左側が正解だ」という意味合いである。
この迷路は見えない壁やダークゾーンなどで大変複雑になっているが、常に左手法を使い続ければ必ずゴールに辿り着けるように出来ているのだ
途中のダークゾーン+回転床のコンボは「EJ」の方位表示を注視していれば大丈夫。

まあフウカたちは物好きなのでマップを全て埋めるために関係ない道も平然と通るわけだが……。

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1度解いた謎はショートカットできるようになっているのはポイントが高い

迷宮を突破すると「迷宮管理室」という部屋がある。ここのスイッチを入れれば迷路の鉄格子が全て開き、迷わずにここまで来られるようになる。

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口が悪すぎる上にしょうもないお使いを要求してくる修道士の屑

先に進むと迷路の管理人にしてドラゴンを封印する修道士エセルバートがいる。

「私はエセルバート、修道士にしてドラゴンの洞窟の番人でもある。
 ドラゴンが洞窟から出てこられないように、入り口は塞いであるぞ。

 何? お前らがマーリンに見込まれた冒険者だと?
 ハハハ、笑わせるなヒヨッコが!
 お前らごときドラゴンのエサになるのがオチだろう。洞窟の封印を解くわけには行かぬ」

あまりの言い草に腹を立てたマナカがEJを抜こうとするが、フウカに抑えられた。

「待てよ……だがそうだな。実はタバコを切らしていてな。
 そいつを持ってこられたら、ドラゴンに挑む資格ありとみなして、
 封印を解いてやっても良いぞ」

タバコ……とんだお使いである。
怒りが冷めやらぬ様子のマナカだが、その怒りはドラゴンにぶつけてやるとダンジョンの奥に突き進んでいくのだった。

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怪文書が刻まれた扉

先に進むと、奇妙な文章が書かれた扉があった。

おお、脚を痛め、疲れ果てし旅人よ
脚はちりとほこりにまみれ
髪はシラミのたかりし汝
しがらみ忘れて、受けよ供宴
扉を押し開け、中に入れ
客をもてなす余は快男児
すばらしき詩もて慰み与えん

** 魔神の地下聖堂(ノックされたし) **

ただでさえ不機嫌であったマナカの怒りが頂点に達した。
戦乙女である自覚はあるが、身だしなみには人並み以上に気を遣っている。
何より愛する弟の前で醜い姿は見せない、そう決めているのだ!

「たのもー!」

仲間の制止も聞かずにマナカは扉を蹴り開けた。

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棺にまで怪文書

部屋の中には小さな壇があり、
その上に輝く真鍮で象嵌された黒檀の棺桶が載っている。

「コイツがこの部屋の主か……! アタシを馬鹿にしやがって!」

棺桶ごと叩き壊してやろうとEJを振りかぶったマナカ。
今まさに振り下ろされそうになった――その瞬間。
その首筋に手刀が振り下ろされた。

「うっ……カナヤ……?」

そう言ってマナカは気絶した。姉の暴走に慣れている弟は、そんなときの対処法も身につけているのである。
やれやれ、とため息をつきながらアキがマナカを担ぐ。幸いこの部屋は安全なようで、この棺桶以外には怪しげな者はない。改めて部屋を調べる。

壇の下には、こんな詩が刻まれている。

汝はくたびれ、旅をつづけ
もはや夢も希望もみな潰えた
嘆かず使命を果たすどころか
息も絶え絶え、頭はうつけ
ここにて求むは誰かのおしえか
それともおのが死にどころか

棺桶の蓋には真鍮の飾り板が打ち付けられ、
次のような文字が刻まれていた。

もし、魔神を呼び起こしたいなら次の問いに大声で答えよ。
魔法のアヒルは何で歩く?

フウカは首を傾げた。魔法のアヒルなんて聞いたことがない。
ナオに眼を向けても、彼女も首を横に振るだけである。
同様に考え込んでいたユマだが、ふと何かを思いついた様子で口を開いた。

「どこかの大迷宮ではどんな水場でも溺れることがない『ゴムのアヒル』なんてものがあるって聞いたような……」

他のメンバーには思い当たるものがないようで、とりあえずこれに賭けてみることにした。

「――"ゴム"!」

ユマのその声に呼応したのか、ギギギギイーッと棺桶の蓋が開いた。

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自称「快男児」の詩人

夜会服と観劇用外套を身につけた、死人の用に青白い顔をした長身の男がむっくりと起き上がってきた。
目はピンク色で、上の歯が2本、牙のように突き出て下唇に被さっている。さも不機嫌そうだ。

当たり前じゃ! 面白くもなんともない!

そういうなり魔神は棺桶を身を伏せて、バタンと蓋を閉めてしまった。

「不正解だったみたいね……」
うーむ、と考え込んでしまった一行。そんな中、ようやく目を覚ましたマナカがカナヤの説教を受けていた。
流石の彼女も先ほどの暴走ぶりには思うところがあったようで、大人しく説教を聞いている。

……最愛の弟から1週間宿の部屋を別にすると宣告された姉マナカは絶望極まりない表情になっていた。
アキはお前らの歳の姉弟が同じ部屋で寝泊まりしてるのもそれはどうなんだと思わずツッコミたくなったが、藪を突いて蛇を出すような事態になったら困るので黙っていた。

改めて迷宮の探索に戻る。

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*** この先は竜の巣 ***

途中の扉に「*** この先は竜の巣 ***」と書かれた扉があったが、びくともしなかった。
この先に進むにはエセルバートが欲しているタバコを見つけてこなければならないようだが……。

更に進んで行くと何かの下書きのようなメモが捨てられているのを見つけた。
酷い詩のようだが……。

それはスフィンクスの謎のごとし。
魔法のアヒルは如何に歩むや?
迷いのアヒルは木彫りのおもちゃ
カタカタ、カタカタ車輪で歩む
ガアガア呪文を呟きながら
いやはやそれも昔のはなし
いまでは車輪も朽ち果てし……

またよく分からない言い回しだが、とりあえず「魔法のアヒル」というワードに気がついた。
「カタカタ、カタカタ、車輪で歩む」――これがその答えだろう。

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正解を告げられて上機嫌な魔神

先ほどの魔神の部屋に戻る。
ユマが高らかに「車輪!」と宣言すると、棺から現れた魔神は上機嫌な様子であった。

「よくぞわかったな! いや、多分まぐれ当たりであろう?
その問いには余ですら手こずらされたのだから。
されど、詩にしてみたら見事に解けた。こんな具合にな……」

それはスフィンクスの謎のごとし。
魔法のアヒルは如何に歩むや?
迷いのアヒルは木彫りのおもちゃ
カタカタ、カタカタ車輪で歩む
ガアガア呪文を呟きながら
いやはやそれも昔のはなし
いまでは車輪も朽ち果てし……

魔神は詩を朗読し終えるとしばしうっとりとしていた。
「その方、詩を分かっておるな。ようし、褒美を取らそうぞ」

魔神は夜会服のポケットから、銀の小さなタバコ入れを取り出した。

「タバコは悪習だし健康に良くないが、このかぎタバコは例外ぞ。
タバコの葉を使わずに、さる司祭によって清められたヨモギを使っておるのだ。驚くべき薬となろうぞ」

ユマがかぎタバコの鑑定を行う。確かに恐るべき薬効を有しているようだ。
具体的には最高峰の僧侶呪文と同レベルの効果がありそうだ。

「よろしい、では冒険を続けろ、若き勇者よ。
ここは寒くて、余は風邪を引きそうじゃ。御棺に戻るぞ、悪寒に悩まされぬうちにな。さらばじゃ」

魔神はひらりと身を翻して棺桶に飛び込むと、バタンと蓋を閉めた。
薬のかぎタバコの入ったケースを置き土産にして……。

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ねんがんのタバコをてにいれたぞ!

このかぎタバコをエセルバートのところへ持っていくと、大喜びでこう言った。

「おお、詩人の魔神のかぎタバコとは!
 なにより上等の素晴らしい成果だぞ。
 よしよし、約束通り、洞窟のかんぬきを外してやろう。
 わたしはゆっくりとタバコを楽しむとしよう……」

そういってタバコを満喫し始めた。

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実はメタンガス自体は無臭だったりするが

先ほどの「竜の巣」の入り口に向かうと扉が開いていた。

その中は巨大な鍾乳洞になっており、ドラゴンの吐くメタンガスの匂いが充満している。
……ユマ曰く、「メタンガス自体は無臭よ」ということらしいが……。

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眠れる竜。幸い起こさなければ襲いかかっては来ない

鍾乳洞内を探索していると、複数体のドラゴンが並んで眠っている場所が何カ所もある。
マーリンは「メスのドラゴンのウロコでなければならない」と言っていた。しかし雌雄を判別する手段がない。
片っ端から殴りかかってみるのも手かもしれないが、いかんせん強大な力をもったドラゴンだ。確実にメスと分かってから戦わないと消耗が大きすぎるし、最悪メンバーが死に至るかもしれない。
慎重を期し、フウカたちは一旦引くことにした。

情報を求めて探索していると、冒険者が一休みしている部屋があった。
なにか知っていることはないかとフウカが声を掛ける。

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ピンポイントで欲しい情報をくれるNPCの鑑

「なに? ドラゴンのオスメスの見分け方だと?
 簡単さ! 左右をオスに守られてるヤツがメスだ!

まさに求めている答えが返ってきた。ドラゴンが3体並んでいる寝床の真ん中にいる個体が正解のようだ。

何カ所かの寝床を巡り、ついにドラゴンが3体仲良く寝ている寝床を発見した。
身軽さに優れたカナヤが左右のドラゴンを目覚めさせないように慎重に近づき、中央のドラゴンのウロコを1枚剥ぎ取ろうとナイフを取り出した。
が、この瞬間ドラゴンが先に目を覚まし、こちらを睨み付けてきた!
カナヤがドラゴンの前から飛び退く! フウカたちも駆けつけて武器を抜いた!

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「真鍮のドラゴン」覚醒!

真鍮のドラゴン」との戦闘! 幸い左右のドラゴンが起き出してきて加勢したりはしないようだ。
こんな見た目だが呪文を多用してくる。ナオは初ターンはマジックスクリーンで少しでも安全を確保しておこう。
攻撃面はマナカの「EJ」が強烈だ。実に80ダメージ以上を与えることができる。

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これを素材に武器を作ったりしたくなる

マナカの攻撃が致命傷になり、ドラゴンは倒れた!
切り落とされたウロコを拾い上げ、そそくさと竜の巣を立ち去る。
ユマが鑑定するとこのウロコは「逆鱗」と呼ばれる部位らしい。極めて貴重なものだ。

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ご満悦の大魔術師

マーリンの部屋に向かう。ウロコを持って部屋に入るなり、マーリンが飛び出してきた!

「よくやったぞ!!
 お前たちがドラゴンを退治したことはこの水晶玉で見ておった。
 全くもって見事な手柄じゃ。これで恩給の心配をせんでも良いわい。
 いやはやよくやってくれた。
 さて、約束の褒美じゃ。これを持っていけい」

そういうとマーリンは指から銀色の奇妙な指輪を外して差し出した。

「これは素晴らしい魔法の指輪じゃぞ。
 世界中を探してもこれほど強力な指輪はありはせん! 持ってゆくが良い!

 ではわしは錬金術の研究に戻るぞ。
 あと一歩であらゆる鉛を黄金に変えることが出来そうなのでな。
 さらばだ、お前たちが真に強くなったとき、いずれまた会うこともあるかもしれんがな……」

そういって錬金術の実験に戻ってしまった。

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マーリンの指輪の凄まじい性能

ユマが指輪を鑑定すると、マーリンが豪語したとおり凄まじい力を持っていることがわかった。
敵の攻撃から身を守る障壁。歩くだけで傷を癒し、魔力を充実させる。そしてこの指輪を破壊することで魔力を一気に持ち主に与える能力まで持っている
流石当代一の大魔術師を名乗るだけのことはあった。

地下4階への道が開かれた。フウカたちは歩みを進める。

――彼女たちは知る由もないが、「大罪人の冒険者たち」が命を落としたのが、この地下4階である。
フウカたちに待ち受ける運命とは。

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地下3階。南半分の大迷路の複雑さが際立っている。

今回はここまで。次回は因縁の地下4階に挑みます。