**ネタバレ注意**
良い感じに育ってきたのでそろそろ次の階層に進みます。
なお、『直下の戦線』のver1.024が公開されていますが、今回の更新分には反映されていません。
「#Javardry #直下の戦線」Ver.1.024、ふりーむ! にて審査通りました!
— ポリフェノール@Wizardryライクのフリーゲーム公開中 (@isinonaka) 2021年7月13日
素材を提供いただけるクリエイターの皆様、お気づきの点を教えてくださるプレイヤーの皆様のご厚意で本作は成長できております。いつもありがとうございます!https://t.co/XroYZ6tBQm#Wizardry #ウィザードリィ愛好会
*おしらせ*
・マッピングツールは「方眼紙マッピング」を使用。
・アイコンはいろいろカスタムしています。
・プレイしながら記録していたメモをほぼそのまま載せてます。
・ネタバレに対する配慮はありません。
ダウンロード先等の情報はその1の記事を参照ください。
さて、前回「次元の狭間」にてアイテムを収集しながらLv27になった。
ちなみに前回の記事のあと、地下9階で希少度6の聖印を荒稼ぎしてフウカにLv6の神聖魔法を全て覚えさせた。「完治」がひたすら輝く。
今回は前々回出てきた「凍てついた地下街」へ向かう。
地下??階 ~逆巻く時の渦の先の凍り付いた地下街~
凍てついたグラフィック、流れないBGM。あまりに静謐すぎて逆に不気味な空間だ。
作者さんに教えて貰ったが、「転移」で移動出来ないのは「次元の狭間」のみで「凍り付いた地下街」へは普通に飛べる。
通路部分のマップ埋めだけは済ませておいたが、大量の扉があるマップのようだ。地下8階以降基本的に玄室が存在せず固定エンカウントばかりだったのでなんだか懐かしい気分になる。
ところが、扉を開けても魔物に遭遇する気配がちっともない。
時々、凍り付いた役人の死体が沈黙を守っているだけだ。フウカ一行は首を傾げる。
そして――この地形にはどこか見覚えがある。
ここは――地下1階の地下街ではないか。
フウカたちは「凍り付いた地下街」の意味を理解して戦慄する。
地下1階の北東の裏路地の一帯。自分たちが「次元の狭間」から飛ばされてきたのはその1室、黒山羊教団の隠し部屋があったところだ。
まさか、ラガーナ王国に異界の神々が攻め込んできたのだろうか?
いや、そんなことはないはずだ。
街を出発したのはついさっき。「転移」で直接飛んできたのだから時間の差なんてほとんどないはずだ。
しかし、最初にこの場所に辿り着いたときの記憶を探る。そう、次元の狭間で「強い哀しみの思念」を見つけたときだった。
フウカたちはそのときに何を感じただろうか?
――その方角に進んでゆくと、君たちは空間ではなく時間を歩いているかのような感覚に囚われ始めた――
あの感覚は、まさか錯覚ではなく現実のものだったのか。
フウカたちが普段生活しているラガーナとは、また違う時間のラガーナの地下街……。
「転移」の魔法はそんなことも出来るのかとナオが驚いているが、先に進むことにする。
壁が崩れた小部屋を通り抜けると、広い通りに出た。
変わり果てた姿になり、ところどころ天井が崩落して通れなくなっているものの、間違いなく見慣れた地下1階のメインストリートと地形が一致している。
その後、南側の裏路地に入るも、やはり人はおろか魔物の気配すらない。
いつも冒険者たちで賑わっている地下街がこのような姿になっているのは信じられないものがある。
異様な静けさに恐怖を覚えつつ、裏路地を抜けると――ついに息がある人間と出会った!
「町の火災は消火機構が自動で対応するはずなのに……
水路の水が凍っていて全く動かなかったんだ……。
あ、あんなに美しかった都が……栄華を極めたこの国が……
もう……終わりなのか……」
「栄華を極めたこの国」――フウカたちは1つの可能性に思い至る。
そして地上への上り階段を目指して駆けだしたとき――目の前に巨大な影が立ち塞がった!
次元の狭間で見慣れたフロストタイタンとブリザードライダー、コキュートスドラゴン。
そしてその背後では――あの「氷界の神」が控えている!!
いくら氷界の神といえど、神話級のアイテムを幾つも手に入れたフウカたちの敵ではない。
無傷で粉砕し、上り階段方面に向かう。
思い立って東の小部屋に向かったが――地下5階への階段がない。
そのはずだ。地下5階への階段は、現代になってレイアードと対峙する王国軍が掘ったものなのだから。
この世界の「時間」に確信を得たところで――フウカたちは上り階段を登った。
その先には――燃え上がる市街があった。
地上 ~燃え上がる栄華の王国~
地上は想像を遙かに上回るほど凄惨な光景であった。
空は煙による黒雲に覆われ、今が昼なのか夜なのかすらわからない。翼の生えた魔物が空を舞っているのが見える。
生き残っていた役人が言っていたとおり、氷界の神によって破壊された消火設備は機能しておらず、火が止む気配は一向にない。
家屋や瓦礫の下では息絶えた市民の死骸が燃やし尽くされている。
あまりに酸鼻を極める光景に、フウカたちは思わず目を背けたい思いに駆られる。
――だが、進まねばならない。1000年前の真実を掴むために。
階段のそばにあった、如何にも焼け落ちそうな建物の中に老人がいた。
フウカは今すぐに逃げろと老人に声を掛けたが、彼は頑なに動こうとしない。
「家族も、家宝の羽根ペンも、隣国の姉を頼って無事送り出せた……
だが、この店は私そのものなんだ。私の人生に悔いはない。この店と運命を共にするよ。」
フウカはなおも声を荒らげて避難するように言った。だが、彼は決して動こうとしなかった。
せめてもの願いで、炎を和らげる「穏快」の呪文を残して去ったが――気休めにしかならないことは、フウカ自身が一番よく分かっていた。
――しばらく脚を進めた先で、背後で何かが崩れ落ちるような音がした。決して振り返ってはならない……。
街のあちこちで魔物たちが破壊活動を行っている。
炎の魔物だけではない。氷の魔物も、悪魔たちも、天使たちも。街を破壊し尽くし、魔法王国の品々を略奪して回っている。
次元の狭間にいた、最高クラスの力を持った魔物たちが、その力を地上で振るっている。
フウカの瞳が怒りのあまり涙に濡れる。――全てを救うことなど出来はしないことは、自分自身がよくわかっていた。
燃え上がる王都を進むと、まだ息のある王国の騎士がいた。
慌てて回復魔法を掛けると、なんとか喋ることができるようになり、彼はこう語った。
「王族を皆殺しにして魔剣シャルンディアを奪った愚かな貴族たちは、味方同士でも魔剣を巡り激しい戦いを起こした。
だが連中は星脈を操るための魔剣を上手く制御出来なかったらしい。
戦闘に用いた魔法は暴走し、生ける兵器として扱っていた異界の神々や魔物も枷から解き放たれてしまった」
ああ――彼らは現代の地下8階や9階で終わらぬ責め苦を受け続けていた。
「この王都を火の海と化し、もっとも大きな被害を与えているのは狂暴な炎獄の神だ。
奴は都の中央にいる……。旅のひとたちよ。貴方たちに力があるならば、炎獄の神だけでも止めてもらえないだろうか。」
フウカたちは必ず炎獄の神を倒すと約束した。彼を比較的安全な場所に連れて行き、生き残れることを祈って立ち去った。
……だが、魔物さえも跋扈するこの街に本当に安全な場所などないことは、誰もが分かっていた。
魔物を切り捨てて先に進んでいくと、大火傷を負いながらもまだ息がある男がいた。
王族を虐殺した公爵たちに対し市民と騎士団は団結して徹底抗戦したという。
だが、公爵は魔剣シャルンディアの力をあろうことか守るべき民に向け、異界の神々さえも生ける兵器としてぶつけたという。
だが、その強大な魔力は王都すらも過剰な破壊に巻き込んだ。魔物たちは制御を離れ、都も、国も、今日まさに滅びる――彼はそう語った。
フウカたちは戦慄した。1000年前に王族たちが暗殺され、力に溺れた貴族たちは自らの国さえも破壊し尽くしたというところまでは知っていた。
だが――貴族たちはその力を無辜の民にまで向けたのだ。
他にも生き残りに話を聞くと、あの「虚構の神」が壮大な曲を奏でながら異界の言葉で嬉しそうに歌っていたという。
やはり炎獄の神だけではないか……。
彼の居た路地から先に進むと――やはり現れたか、「虚構の神」!!
他の神々は呪文主体なので相対的に楽なのだが、軽減できない「酷い歌声」を連発するコイツは今のPTに取って最大の強敵だ。
前列をなぎ払い、虚構の神にトドメを刺したときにはかなりのダメージを受けてしまっていた。
街の北東端には祈りを捧げる女性がいた。
「この都で生まれ育った私は、小さい頃から星脈を利用した魔法のある生活に慣れておりました。
それが本来当たり前のものではなく、大陸でもこの国だけのものだと知ったときは、誇らしい気持ちでしたが……。
内乱で人の命を奪う力として私たち自身に振るわれるなんて思っていませんでした。
これは対価なのかも知れません。
しかし、旅の方々には関係のないこと。皆さんはどうかお逃げください」
確かに1000年前のことは関係のないことかもしれない。
フウカたちはもう名声も財産も、神話級のアイテムすらも手に入れている。
だが――ここまで来てしまったからには、なんとしても真実を知らねばならない。
フウカたちを突き動かすのは半ば衝動のようなこの思いだけである。
……とはいえ、フウカの神聖魔法はともかくナオの元素魔法がもうリソース切れだ。
この街にも転移で戻ってこられるかはわからないが、命がなければ真実に辿り着くこともできない。
ユマが「<暗転>の呪符」を使い、1回帰還することになった。
燃える都へ、2度目の突入
宿で一休みし、アイテムを整理してまもなく再度出立。
やはり「転移」で移動できるようだ。この魔法の謎は深い。
転移した先の最初の戦闘で「眩き神刀」を入手。希少度8の両手刀だ。
なんとこの武器自体に30%もの呪文無効化率と石化・呪殺への耐性が備わったとんでもない逸品。
物理防御力自体はやや低いものの、流石「神話級」と呼ぶにふさわしい武器だ。
他の装備と合わせてマナカの呪文無効化率が100%を超えてしまった……。
先に進むと、ささやかな氷呪文で消火活動をしているガラの悪そうな男たちが居る。
「へっ、この有様だ……。
俺らみたいな落ちこぼれが使える簡単な魔法程度じゃ焼け石に水だって思ってるだろ?
でもよう、こうせずにゃいられねぇんだ……。
俺らと仲良くしてくれた王子さんや可愛らしい姫さんが殺されて頭にきててよ。
でも俺たちなんかにゃ異界の神に立ち向かう力も勇気もねえんだ……。
他にどうしろってんだよ……」
フウカたちは、更なる無力感でうなだれるしかないのだった。――自分たちには暗黒魔法を使える者がひとりもいない。
自分たちができるのは、やはり炎獄の神を倒すことしかない。決意を新たに、先に進む。
……レイアード、こういうガラの悪い、「落ちこぼれ」を自認する連中にもちゃんと目を掛けていたんだな。
案外、なにごともなければ立派な王になれていたのかもしれない。
更に進むと「冥府の神」が現れた!
まさにこの地獄のような王都は魂を集めるのに格好の狩り場だろう。
もちろんそんなことを許すわけがない。成敗!
冥府の神を倒したあと、周辺を探索し再び帰還。残るは中央部のみだ。
第3次突入 ~炎獄の神との決戦~
中央部に踏み込むと、やはり「炎獄の神」が立ち塞がった!
以前とは戦法を変えており、呪文をほとんど使わずにブレスばかりで攻撃してきた。お陰で大幅に消耗。きっつい……。
炎獄の神は倒した。だがやはりこれほど燃え広がった王都を消し止めるすべはなく、ただ王都が焼き尽くされるのを見届けるしかなかった。
王城へ至る大階段、そこから王都を見下ろしながらフウカたちは無力感に打ちひしがれた。
そんなフウカたちの顔に、冷たい雫が当たった。
空を見上げると雨が降り出した。だがそれは火を消し止める救いの雨などではなく――雷が鳴り響き、暴風が吹き荒れる嵐の始まりだった。
そして城の上空に異様な気配を感じ、フウカたちは振り返った。
黄金の翼を持つ邪神――混沌と破壊の神が降臨したのである。
かつて遺跡最下層で戦ったときとは比較にならない圧倒的な力を放つ邪神は、聞き慣れぬ言語で詠唱し、その力を解放し始めた。
純白なのに禍々しい、密度ある光……それが収束するたび、都が削れてゆく。
光は、王都の外にも容赦なく降り注いだ。
異界の神々を召喚し使役していた公爵とその一派は、外壁の外に待機していた軍勢ごと光の中に消えていった。
王宮の真上に滞空している混沌と破壊の神は、最後に自らの真下を一瞥し、左手から光を放った。
そこにいたフウカたちの視界は限りなく白く染まり――
次元の狭間 ~魔法王の悪夢~
死を覚悟したフウカたちは、気付いたときには「次元の狭間」に戻ってきていた。
自分たちが1000年前の戦いを垣間見たのは幻だったのか……?
地図を確認すると、今までは入れなかった座標に飛ばされたようだった。
這々の体で前に踏み出すと――そこに現れたのは、フウカたちを驚愕させる者だった。
「初代魔法王リビウス」。古代魔法王国を築き上げた偉大なる王。
何故貴方がここに居るのだ。――何故、我々に刃を向けているのだ!
満身創痍で打ち破ると偉大なる王は消え去り、その足元には「覇王の剣」が残されているだけだった。
今までのどの神話級武器とも一線を画す凄まじい性能の武器に目を疑いながらも、更に脚を進める。
フウカたちの心に、何者かの意思が直接語りかけてくる。
「余は作り上げた国とその歴史が残酷な終焉を迎えたことでその嘆きに囚われ続けていた。
強き者たちよ。余の悪夢に触れながらもそれを乗り越え、打ち破ってくれたこと……。
心から礼を言うぞ。
余は再び眠りにつき、望んでいた夢の続きを見るとしよう」
これは……まさにリビウスの意思……
そしてリビウスの意思に導かれながらフウカたちは次元の歪みに飲み込まれ、再び見知らぬ世界に飛ばされるのであった。
今回はここまで。次回はこの続きから。